Tida-Tiger

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舞台「魔界転生」 2021年版 感想

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初演の感想はこちら!

torata-nu.hatenablog.com

 

大筋は初演とほぼほぼ同じでしたが、細かい枝葉が整理され、より見やすくなっていたように思います。
十兵衛の妹の話とかがまるっとなくなったてたのかな。
上演時間も普通の長編という感じで、無理なく見られて良かったです。

 

演出関係

前回はプロジェクションマッピングをふんだんに使っておりましたが、今回はLEDパネルを大量に使っていました!

足場に全部貼り込んであった。強すぎる。

芝居と連動した高精細の映像に、世界観の広がりを感じます。場面転換のテンポも良く、楽しく見られました。

電影活劇の名は伊達じゃない。

 

なんというか、世知辛い話をしますと、今ってやっぱり何をしていても、最後まで出来ないかも知れない、はじめに試算した収益が上がらないかも知れない、っていう不安があって。人と人が接触するのは避けた方がいいのでは?というのもあり。色々制約もあるし、ちょっとケチってやってもね、しょうがないと思うんですよね。

でも年末の陰陽師とか、今回の魔界転生は、今できる最大限の技術を使って、思いっきり最高の演劇を作り上げていて。

なんかその、おら~~~~最高やったるで~~~~~見とれやおんどれ!!!みたいなのに触れるだけでね、ぶち上がるんですよね…。ありがとう心のカンフル剤。

陰陽師でも同じこと言ってたわ。草

 

キャスト感想

推しは番手を無視して最後いつもどおりに。

上川隆也/柳生十兵衛

好き…だな……。

改めて見ても業が深いキャラクター。上川さんの度量・技量でリアルに仕上げられて、それがまた噛みしめれば噛みしめるほど、切なくもかっこいい。

毎回、死に際の宗矩パパ「お前は空っぽな男だ…」に「めっちゃ急にDisるやん…」ってなっちゃうんですけど、実際にそうなんだよなあって思わせるのが、上川さんのパワーだなあと。
ちゃらんぽらんだけど、人に対する情は深く…でも執着とかかくあるべきみたいな視点がなくて、良くも悪くも善悪がない。無念無想の境地、ただあるがままにあり、剣の道を究める。
でもそれに自覚的な程度に賢くて、これからの時代の変化についての意識や、父や弟への敬意も持っているから、ある意味で権力構造や理性にとらわれた宗矩パパからしたら、思うところがデカすぎるんですよね…。

松平健演じるクソデカ感情パパを受け止められる上川隆也、半端ない。

遊女屋でふーんふーんふーんってスキップ…?なんかすごいアクロバティックで可愛い走り方をするのが滅茶可愛いです。殺陣も美尻体操もだけど、シンプルに身体能力高いな…ヤバ。


小池徹平/天草四郎

演技も謎の四郎オンステージ(途中で止まる)も良すぎて…。

ほぼ二分の一の年齢の子の、一人の人間としての切なさや、三七〇〇〇の命を背負った重さ、魔界転生した後の狂気を演じ分けていくのすごすぎました。
あと、冒頭のナレーション時は多分「~という史実にある四郎の姿」なので、表情がまた違う気がする…島原の民を見る目の変化もすごい。

天草四郎の衣装が似合うんだよなあ…溝端君も似合ってたけど……顔がイイ…。


藤原紀香/お品

美しく悲しい母上…。

美女系パワーゴリラ属性がつき、かなり好戦的になっていました。博多座公演での牢屋のシーンでの「ばりこわか!(1Hit) ばりこわか!(2Hit) ばりこわか!(3Hit)」も、十兵衛が捕まえた兵士への、小パンチ・小パンチ・大パンチのコンボも良かったです。

淀君との嫁姑戦争も、美しくかつ、子を思う母の気持ちで通じるところがあり…眼福でした。

あと博多座楽カテコの挨拶が神がかってたので、「推す…」となりました。


木村達成/柳生又十郎

頬紅がとれた(初演と変わった点)

初演では十兵衛の旅に随伴していたのが、多分別のキャラクターなのですが、今回は兄弟で行動していたこともあり、より、十兵衛との対比がわかりやすくなっていました。十兵衛が四郎を倒す様を、目を逸らさずに見つめる様子もよかったなあ。それもあって、去って行く十兵衛へのまなざしや、追いすがりたそうにする甚八に、首を横に振る様子も良かったです。

坊太郎とのやりとりも、殺陣もよくて~。あのシーンは何度見ても泣いてしまいます。


田村 心/田宮坊太郎

心たゃ……でっかくなったな…ってマジで思いました。
間の公演をほぼほぼ見てないのでアレなのですが、マジデビュー時の「ちっちゃな英雄 Team Smile」を見てた(メインはTeam Dream)ので、妙な感慨があります。という隙自語。

坊太郎の悔しさ、切なさを丁寧に演じていて、引き込まれました。又十郎の項でも書きましたが、二人のやりとりのシーンは全部泣ける。

あとこれは勝手な感覚なのですが、機材のタイミングに芝居を合わせるのが滅茶上手い…気がする……LEDの映像と見事に呼吸が合っていて、芝居や殺陣が崩れないんですよね。そこも見ていて没入できるポイントでした。


岐洲 匠/小栗丈馬

ピャー!!って高い声が綺麗に響いて可愛い。

最後まで生き残っているので、割と安心して見られます。


宇野結也/戸田五太夫

幕間後、2幕が始まったところで、毎回戸田達のエチュードが入るのですが、博多座公演で戸田さんかっくぃ~~~みたいな回があり、その際には余計に上川さんの「戸田ァ!」が染み入りました。

有事にはためらいなく腹をかっさばく侍。格好よくて好きです。


財木琢磨/荒木又右衛門

又右衛門様の怒りや乾きが感じられて、いい又右衛門様でした。

割と坊太郎と仲良しなのが可愛い~。宮本武蔵の片腕をメルカリに売ろう・煮込んで飲むと魔界転生できる…という坊太郎からのボケに、しっかり突っ込んでいて良かったです。


山口馬木也/由比正雪・叢雲常陸

いや~~~~~~~~……好きなんだよなあ。

万が一、十五年後に魔界転生やるなら、推しに演じて欲しいキャラクター第一位。

野望があるのになんか抜けてて可愛い、そんな正雪を、マジでがっつり殺陣も芝居も出来る馬木也くんがやる。ゴージャスすぎる…。

十兵衛による由比虐(由比いじめ)シーンは必見です。博多座楽では十兵衛にぶすぶす刺された後、「ちかっぱいたかぁ…;;(だったと思うけど違うかも)」ってくすんくすんしてて最高に可愛かった…。


渡辺 大/宮本武蔵

初舞台なのぉ?! もちろん映像でのご活躍は沢山あるのですが、それにしても上手い……見応えがありました。

あと博多座楽カテコで「松平健さんの宗矩にいつか勝ちたい」「健さんを学ぶために、健さんの棒人間LINEスタンプ買いました!」と言っていて、その横の馬木也くんがなんとも言えない顔をしていたのが滅茶可愛かったです。

 


浅野ゆう子/淀殿

ママ上~~~~~~~!!!!

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SUKI…。美しい人、さみしい人、愛に溢れた人…淀君の運命と秀頼様への愛を全身全霊で演じられる姿、たまらなく好きです。

甚八の顔を覚えてないシーンが、本当にコミカルなんですけど、笑った後考えてみると、本当に悲しいんですよね…。魔界衆男性陣の、破壊衝動が出がちな崩壊とはまた違う、喪失のある壊れ方がたまらなく切ないです。

ラストの嫁姑戦争も美しくて好き…。


松平 健/柳生宗矩

健様~!!かっこよすぎるんじゃあ……。

一時はコロナ陽性となられ、勝手に心配していたのですが、そんなことを思い出す暇もないほどの剣と芝居の冴えを見せてくださり、グッときました。

殺陣が当然上手いんですけど、そこにもしっかり芝居があってすんごいんですよね…。ちょっと思い立って、魔界衆になったあとの宗矩の殺陣に、暴れん坊将軍の殺陣BGMを脳内で流してみたんですけど、ぜんっぜん!合わない!!上様じゃない!!!もちろん殺陣の構成もあるのですが、芝居としてきっちりキャラクター性を表現しているのだなあと感動しました。

 

村井良大/根津甚八

sukidazo…

こういうと難ですが、根津甚八ってなんだかわかんないキャラなんですよね。

マジで。なんかすごい色々走り回ってるけど…なんだろうこいつ、みたいな。
真田の公演からもう大分経ってるので、推しのオタクであっても、元々の真田十勇士根津甚八っていう文脈がわかんなくなってたりしそう。(DVD化されているのが初演の福士君甚八なのもあって)

でも、十兵衛とのちょっとしたやりとりの中に、甚八本来の人なつっこさ、情の深さを感じさせながら、同時に観客にもコミカルさで受け入れられる芝居をしていて、は~~~~~~~~もうホント芝居もなにもかも好きすぎるんだけど~??って。

甚八ってなんね?魔界と真田の繋がり方ってどういうのなん?っていう話は、また改めて別ブログに書きますので、一旦置いておいて、このクソデカ感情のまま感想を書きますね。

 

甚八の出番ってそんなになくて、出番の間と間が長いのですが、他のキャラクターとの感情のやりとり(特に十兵衛)が緊密なので、すごい存在感があるんですよね。
なおかつ、こまめにテンポ良くギャグを入れていく。笑わせて観客の印象に残る。
そういう、キャラクターとしての連続性や個性と、観客が受け取るものを、分断させずに絡めて展開していくところ、マジで好きなんですよね……。

以前よりも物怖じしなくなった…?なんだろう、こう、観客の受け止め方と自意識の乖離から来る、ミリ秒単位のブレや堅さ?みたいのが大分減って、すあっと軽くこちらに飛び込んでくるので、たまにこっち自身がビビります。

そういう所が好きなんですけど。

 

博多のお客さん、なんか知らんけど推しのタイミングと異様に合う。受けがいい。また何か博多座公演に出るときは、絶対いきたい。「ワイルドだろぉ~」で拍手が起きたの楽しかった。2015年にカレイベで福岡まで行ったときも、あったかくて好きでした。

 

何の話してたっけ?

カーテンコールも素敵で、お品さんと踊ったり、お品さんへカゴに入れた花を撒きながら(マイム)去って行ったり、又十郎のアクロバットについて行ってからダンスしたり、四郎と又十郎と踊ったり、またお品さんと淀君に手できらきら~ってしたり、ラテンのリズムに合わせて踊ったり、なんかずっと動いてんねきみ?!?!!!ってくらい動いてました。またダンス見たいなァ~~~~~!!!

十兵衛との別れのシーンは何度見ても好き。又十郎とのバランスがいい…さみしさ……好き…。

 

最後に

魔界転生はいいぞ