根津甚八 舞台「魔界転生」と舞台「真田十勇士」を繋ぐ良心
Canva便利じゃなあ…。
そして村井良大という役者について
と、デカくぶち上げてみましたが、とりあえず「魔界転生の根津甚八ってなんなんだ?」という初見さんの疑問や、真田十勇士から繋がってるネタなんかを軽く説明してみようと思います。
正直、私自身忘れてるところもあるので…まあふんわり見てください。
あとここで言う舞台「真田十勇士」は、中村勘九郎さん主演の赤真田の2020年版であり、上川隆也さん主演の青真田ではないので、お気をつけ下さい。(ややこしい)
根津甚八=豊臣秀頼の影武者
舞台「真田十勇士」において、根津甚八は豊臣秀頼の影武者でした。
これ!
他はまあいいけどこれだけは知っておいていただけると、淀君との再会のシーンの芝居がより楽しめると思います!!!
キャスト表を見ればわかるとおり、一人二役で演じてました。
大阪城が落ちるとき、秀頼を薩摩へと逃げ延びさせるのに尽力したのは、真田十勇士の猿飛佐助、霧隠才蔵(+幼なじみのくノ一・火垂)、根津甚八です。
特に根津甚八は、秀頼の影武者をする中で、淀君の最期を見届け、その母としての愛を息子の立場で受け取っていました。
その為、淀君様の徳川への恨みは理解しつつも、魔界衆として化け物になってしまったこと、狂っていってしまうことに対して、悲しみを抱いていたんですね。
「お見忘れとは情けねえ」
このセリフは「真田十勇士を忘れた」ことと同時に、「今も愛情を注いでいる息子の顔を忘れた」ことを示していると思われます。
魔界転生がどこまで真田の設定を公式に踏襲しているのかわからないのですが、私はそう信じてます。
なのでこの時の甚八の表情、是非見てくださいね…!
甚八という男について
タイトルに良心って書いたけど別に善人ではないよ!
ただし、メチャクチャいいヤツです。
元は武士の家系ですが、家族とは死別。
真田十勇士になったのも「自分は真田十勇士の一人である」と言って詐欺を行っていたことからです。ちなみに猿飛佐助も登場時に、武将の名前を騙って詐欺をしていました。
その当時は錆び刀を帯びていましたが、改めて十勇士入りを決めた際には、研いでありました。
他のメンバーと比較して、多分そこまで武に優れたタイプではないです。ノリで真田十勇士入ったし。
また、当時は元服後から20代にいくかな~?程度で、十勇士最年少でした。
最年少で小柄な為、頭のとさか(ソフトモヒカン)の高さを気にすることが多かったです。
スレてふてくされたところがあり、真田の劇中でも首を落とされそうになるシーンがあります。
どっかとあぐらをかいて「やってくんな!」「出来れば痛くないように……」と、肝が据わってるのか据わってないのかわからない人間味がありました。
秀頼様と顔が似ていることから、影武者役として抜擢。
自分も大阪城と共に死ぬと言いかねない秀頼を箱に詰めておき、舞台終盤の大ばくちでは立派に秀頼を演じきりました。
そして、真田十勇士の生き残りとなったのです。
魔界転生と真田十勇士の甚八ネタ
上の方で太文字にしたところは、魔界転生でもネタとして拾われています!
真田十勇士の生き残り
魔界転生で登場する真田十勇士は、根津甚八のみです。
(猿飛佐助も生きてるのかもしれないのですが、会話にも出てこないので不明)
これは、舞台「真田十勇士」のテーマでもある「嘘をつき続ければ誠になる」というのを、魔界転生でも体現しているとも言えます。
はじめは十勇士を騙る子だったのが、今では次の物語まで生き延びて…。
真田幸村自身、ポンコツ武将がかっこいいフリをしているうちに、本当にかっこいい武将になった、というキャラクターであったので、そういう所も含めて受け継いでいます。
甚八と刀
甚八は真田十勇士で、錆び刀を帯びた嘘つき少年として登場しました。その後、自分で研いだ刀を手に、真田十勇士として活躍するに至りました。
甚八にとって刀とは、武士の魂のようなものなのかなと解釈しています。
魔界転生で村雲氏を師範として、刀匠となるのも、もしかすると、武士の魂を作り、受け継ぐ側として、旧い世代(豊臣の世や、十兵衛達がいきられる武勲の世界)と新しい世代(又十郎たち、活人剣が生きる世界)を繋いでいるのかな、とも思いました。
甚八は、そのままズバリの武士・侍ではないんですよね。遊女屋をやるとか、そういう所での貴賤の感覚や抵抗感がないので、いい意味で世慣れている。
そういう意味でも、今時の侍ではない十兵衛と馬があったんでしょうかね。
十勇士最年少
まあこれはネタとしてはそんなに拾われてない!
強いて言うなら「長生きはするもんじゃねえな~」程度でしょうか。幸村様はさすがに越えてないけど、他のメンバーよりは長生きしているんじゃないかなあ。
小柄で武に優れたタイプではないのは、魔界でも同じ(ただ確実に場数は踏んでいるので、対応能力は高いのが見て取れる)
ソフトモヒカンの高さを直してるのはごくまれに見られます。見て。可愛いから。
首を落とされる
真田でも佐助&才蔵に殺され駆けてるんですけど、魔界でも十兵衛と四郎に首を落とされそうになってますね。結構死にそうになってるんだよなあ、この人…。
ただ真田よりも、腹の決め方が大人びたように思います。
秀頼の影武者として ~お品さんとの関係性~
2幕冒頭の、甚八の「秀頼様は死んじゃぁいねえもん!」ってセリフからのお品さんの反応、すごいいいから見て…。
この「真田十勇士の一員であった」「秀頼様が薩摩に落ち延びたことを知っている」という暴露があったからこそ、甚八はお品さんと協力して、淀君の魂を慰め、お品さんの心の臓を取り出す役割を担うことになったのだと思います。
お品さんが「自分の旦那と同じ顔だなあ」と思いながら接してるか、確信が持てないので、その辺の関係性はわかりません。
あと甚八が「お品さんは結婚してるの?」と聞くのは、おそらく十兵衛の想いを気にしてのことなので、この二人にラブがあるかどうかは謎…。
ただカーテンコールでは、多分…多分なんですけど、秀頼としてお品さんとダンスしてる気がするんですよね…。でもどっちなんだろう。
とりま私は、秀頼としてお品さんとダンスした後、甚八として花を撒いて去って行ってる、と解釈しています。確信は持てないけどそっちのほうがエモいから。
生き残り、あるいは時代に置いて行かれた子ども
甚八は最後の合戦を、負ける側として経験しているんですよね。沢山の仲間が死んでいったし、時代が終わるのをすぐそばで見届けていた。
だからある意味では、徳川の治世、太平の世、に馴染めていない。
それが、殺法の剣の使い手であり、平穏な日々に馴染めない十兵衛と、共鳴するところでもあったんだろうなと思っています。
だからこそ、ラストの十兵衛を見送る時が悲しくて悲しくて。
抱きつこうとするところはコミカルだけど、最後の「おいらやっぱり…」の声は切ないです。大切な幸村様を見送った時と重なる。もう二度と大切な人と離れたくない、っていう気持ちが感じられます。
でも十兵衛について行くというのは、本当に今の時代から切り離され、旧いものとしておくられることでもあって。十兵衛は、甚八は(あと又十郎達も)そんな風に生きる必要はない、今の時代でも立派に生きられると思っているから、「誰も来ちゃいけない」と言うんですよね。
また置いて行かれる、でも生きていける甚八の切なさったらないです。
ナレーションでは十兵衛の消息を知るものはいない…と言ってますが、私としてはたまには顔を見せてくれると嬉しいなと思ってます。死んだわけではないですからね。
上でも言った通り、甚八にとっての刀とは、武士の魂のようなものなので(まあ刀と言えば大体そうではある)。
十兵衛が「差し料をこさえてくれ」と言ったのも、彼らの繋がりだと信じていたいんです。
村井良大さぁ……(すき)
急にメタな話をするんですけど。
福士君の甚八も最高に素敵だったんですよ! いい感じにヤンキーで、一番観客と近い視点から物語を見られた。あと、今から映像を見ようとしたときに触れられるのは、彼の方なんですよね。彼の甚八があったからこそ、今の甚八があるのは間違いないんです。
あと村井氏の海野六郎も、堅物ながらも主想いな可愛いメガネっ子(デザインをコナン君にされた)で大好きだったんですよ!
でも、真田十勇士2020と、魔界転生初演・再演の甚八は推し(村井氏)で、その物語を繋いでいるのは推しなんですよね~~~~~~~~!!!!
エモい……。
魔界初見の人にとって甚八って「なんね????」というキャラではあるんですけど。
そこはもう、大好きな推し殿、キャラクターの個性と観客へのキャッチーさを兼ね備えた演技でがっつり掴んでくれて…うわぁ~~~好き。出番こそ少ないのに印象バッチリすぎる。
マックのJK並のねつ造と思われそうですが、「この子いいわね」って初見の方に言っていただけること多いんですよ…マジで。魔界再演でも、電車内で聞いちゃったもんね!!!
私は盲目オタクなので当てになりませんけど、他の人の意見ならそうなんだと思います。そうなんです。そうなんですよ。
こういう風に、物語を繋ぐキャラクター・俳優として選んでいただけたこと、台本の中にも、沢山変わらぬ生き様が記されていること。
それが、オタク冥利に尽きるというか…推しのことずっと推してて本当によかった、こんなすごい作品で、こんなに輝く推しを見れて良かった…ってとにかく嬉しくなるんですよね…。
ホント…マジ……愛してるぞ、推し。
これからも沢山素敵な舞台を見させてね。
魔界転生は東京公演こそ一部中止になりましたが、最後まで皆様元気に走りきれるように!!心から祈ってます!!!!