Tida-Tiger

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ミュージカル この世界の片隅に 感想

ミュージカル「この世界の片隅に」開幕おめでとうございます〜!

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まじで泣いた!!

空襲や原爆投下の事実だけでなく、そこで生きていた人たち、傷ついた人たちの姿が鮮明に描かれ、より胸に迫る物語となっていました。

アンジェラ・アキさんの繊細な音楽が、この世界の息遣いを彩って、生身の演劇だからこその魅力を存分に引き出していたと思います。

この作品が、今この時代に生まれてよかった。見ることが出来てよかった。

大楽の7月末まで、皆様元気に駆け抜けていけますように。



推しの村井良大さん初日を見てきたので、感想をまとめます。

ネタバレしかないからね〜〜〜〜。

 

ざっくり感想

全体

和製ミュージカルの完成形では???

演出も音楽も、芝居も全部良い!

物語も「居場所」をテーマとして丁寧に描いててよかったです。すずが自分自身で自分の居場所、心の置き所を探すだけでなく、それが他の大きな出来事によって奪われる様子がとても生々しく苦しかったです。
平和な世界であれば、自分が居場所を探したり、作ったりすればいいけれど、そうじゃない世界では、居場所を見つけたとしても、より大きな悪意に奪われてしまう可能性もある…

原爆の物語だ、戦争を描いてる、というだけにとどまらず、さらにマクロに、人々の営みの様子を丹念に描くことが、生きた人間がリアルタイムで演じる演劇とうまく噛み合って、「確かにここにいた」「確かに奪われた」「確かに生きていた」という手触りがあったのもよかったです。

原作漫画は一回読んでいたのですが、晴美ちゃんと手を亡くしてしまう瞬間が新鮮に辛かったです……

 

脚本・構成

淡々と日常を描いていく一幕と、そこから生み出された感情や情景にフォーカスしていく二幕で、盛り上がりは一幕ラストから大きくなる印象です。

一幕は日常を描きつつも、回想や回想明けが重なるので、展開が弛むことはない…のですが、
今どこのシーンがベース(回想元)で、何年前・後に移動してて、どういう感情なんだっけ?
となることがしばしば。

回想の中に回想が入るところもあるのかな…?

これは、原作を読んでおくか、パンフレットのMusical  Numbersを見ておいた方が安心かなと思います。

脚本も全体的によかったです。
上記の時系列ぶっ飛びハードルはあるものの、セリフや展開の取捨選択がとてもよくて、観客に何を伝えるかをしっかり考え抜いている印象がありました。

径子さんとすずさんが対立する場面も、リンさんについて北條家の女性陣がちらっと話すところも、すずの心には触れつつも、観客が女性陣を嫌うほどではない塩梅になってる感じがします。(もしかすると物足りないと感じる人もいるかもしれませんが)



音楽

いや〜〜〜〜〜〜〜〜…

めっちゃいいっすね…………

まず、「この世界のあちこちに」が良すぎる。

この曲について、アンジェラ・アキさんのアルバムを聴いて「ペールトーンの水彩画」「たくさんのページが捲られていく」イメージを持っていました。これが結構ドンピシャで、演出とイメージの合わさり方もとてもよかったです。

でもそれだけじゃない。

編曲でイメージを踏襲しつつも越えていく。一幕ラストにすずがリンさんと自分との関係を理解するところがまた…。
私の居場所はあなたの居場所だったかもしれない、という不安感がありよかったです。めっちゃテイルズオブジアビスじゃん。

編曲で言うと、明るく楽しい隣組のメロディが、終戦の後に不穏に転調するのがよかったですね…信じていた世界が歪んで崩れていく様子が、耳から入ってきました。

リプライズ!という感じの曲はないのですが、「あちこちに」のイントロや、「波のウサギ」のメロディなどが関わりある場面で出てくるので、物語のつながりやメロディの中に記憶された感情が湧き上がってきてすごくよかったです。
「あちこちに」のイントロは、この場面もすずさんにとっての大切な一ページなんだな…と感じられたのが好きでした。

個人的に「花祭り」が大好きで、「最終話で本編に被って流れ始めて、最終話の後のメインキャラたちの今を見せていく神回確定演出曲」と勝手に言っていたのですが、リンさんと周作さんにまさにそういうシーンがあって、脳汁が出ました。これコレコレが見たかった!!!
そういう意味では二人にとっては「二人の物語の終わった後」があのシーンだったのかもしれないなと、今思いました。

アンジェラ・アキさんのアルバムに入ってない曲もよかった!

隣組マーチと防空壕ポルカに、村井さんが出演した「きらめく星座」で予習した「軍歌など日本で愛唱されている曲にも外国のメロディが使われている」という話を思い出しました。闇市のダークで大人っぽいジャズ感も素敵。

様々な国の音楽が合わさることで、逆に「日本らしい」ミュージカル曲になっているんだなという発見がありました。

一つ難点があるとすれば、ものすご〜くわかりやすいソロ曲がほぼないので、「この作品ならこのキャラのこの歌!」みたいなわかりやすさがないところでしょうか…。
「これの歌い出し幼少期すずさんか!」
「待って、思ったより合唱!」
みたいなのが多く、誰がどこで歌ってるか初見で覚えきれない…! 「自由の色」は径子さん~~!となるのですが…

歌割りも記載した楽譜の販売があると嬉しいなあ。



舞台機構

シンプルながらも高さや情景に変化のある舞台で見てて楽しかったです。

かなり高めの八百屋舞台で、裾野も高めなので、前よりは、後ろ〜二階席の方が見やすいかも。

一番奥にある紗幕も良かった!
あのころのスケッチブックとかノートってわら半紙なんでしょうか。紗幕の表面がざらついていて、投影された絵も鉛筆のタッチを感じるようになっていたのが素敵でした。

紗幕と言いましたが、実際にはだいぶ大きな機構で、裏面に瓦礫などを思わせる無機物的な構造があり、それを吊り下げてライトを当てることで、「空襲を受けた呉の街並み」「海に浮かぶ重巡洋艦青葉」を表現していたのが好きでしたね。

▼イメージ図▼

ミュージカル「この世界の片隅に」美術メモ

終盤にはやや手前に傾斜した形になり、舞台手前下からのライトで照らし出された影法師が紗幕に映っていて、ここにいる人たちが今まで描かれていたんだ…と感じられたのも良かったです。

縦長の幕が移動して、場面を区切ったり、桜の幹になったりするのも素敵でした。大きな劇場での大掛かりなミュージカルのパワーはありつつも、見る側の想像力も楽しめる部分があったと思います。

 

衣装

ナカサチ神~~~~!!

ずっと推しの出る舞台に関わって欲しい…と思っていたので嬉しかったです。

各々のビジュアル・スタイルに合わせたスタイリングはもちろんバッチリで最高。MUSIC FAIRでのお衣装も良かったですねぇ。

戦中の物語ということもあり、汚しすぎない、でも綺麗すぎない、絶妙な塩梅で作られていたのもよかった…当時のお着物を使ってるんでしたっけ。

なんというか、今の私たちが当時のことを考えると、少し古ぼけたイメージになってしまう(資料として見れるものが経年編しているので)ことが多いのですが、実際に当時の人が着ていたのは新品か、古くても誰かのお下がりや、ほどいて作り直したものなので、古びてはいないんですよね。
でも当然、当時にない生地であったり、漂白具合のものだと、急にパリッとして違和感が出る…そういう「ん?」が全くなくて良かったです。

個人的に防空壕をほってる時の村井氏の周作さんのシャツのよれ具合と汚れが大好きでした。汗ででろでろになってそうな感じ、すごいいい。わかるがある。

 

キャストごとの感想

浦野すず/大原櫻子さん

かわい~~!!

ぽや、としつつも、自分なりの芯のある素敵なすずちゃんでした。
モンペとかも可愛い〜お衣装の色合いが、ダブルキャストで各々違うっぽいので、今度昆ちゃんを見るときはそこに注目したいと思います。

櫻子ちゃんのお歌を聞くのは、「怪人と探偵」以来でしょうか。ポップス寄りの歌唱がこの作品の曲にバッチリ合っていたと思います。

すずが主役だから…と言うよりも、主観として作品世界を眺めているからもあり、出番がずっと続いていて大変そうでした。

特に一幕の感情の切り替えが難しそう…! 冒頭の歌唱は晴れやかで愛に溢れ、呉の空襲後のシーンでは自分の居場所、自分に出来ることに悩み苦しみ、その落差に一緒に心がギュッとなりました。

櫻子ちゃんのすずは「悲しいんです!」と言うよりも、胸の内にぎゅうぎゅう押し込んで苦しんでいる感じで…見ていて切ない…。言語化するよりも、絵に描いたりする方が得意なんだろうなという、キャラクターの認知特性も感じました。

初日&前方サイドだったせいか、いまいちお声がちゃんと聞こえないのだけは残念でした…もう少し見やすい&聞きやすい席でリベンジしたいです!

 

白木リン/桜井玲香さん

華やかで純粋、可愛いリンさんでした…! すずに見せる微笑みが可愛いんだあ。

櫻桜すずりんは、鮮やかさと優しさがバッチリ合っているベストカップルでした…。

「ファースト・デート」ぶりですが、目を引く愛嬌とお芝居のうまさは変わらず。三角関係の一つですが、すずも好きになっちゃうよなあ〜というキャラクター性が出ていて、グッと掴まれました。
アイスクリンを確かに知ってそうな、でもそれが苦界にいるからこそなのがわかるような、艶やかさと寂しさのあるのがいい…。

いやでもやっぱ花祭り」が! いいですね!
上で言った通り「最終話で本編に被って流れ始めて、最終話の後のメインキャラたちの今を見せていく神回確定演出曲」なのですが、そこで周作と眼差しを交わす様子が美しい…情景としても美しいし、二人の間に確かに愛があったこと、でも今は終わってしまったことが伝わってきて、うわ〜〜見たかったやつ〜〜!!とテンションが爆上がりしました。
ファーストデートが恋にもがき最後に告白する二人の話だったので、ある意味それも感じてるのかな。

 

水原 哲/小林 唯さん

いいやつだな…。(?)

声といい、しっかりした体つきといい、芝居といい、近所に一人はいる男子って感じでなんか妙にリアリティを感じていました。

すずちゃんとの関係性もいいな〜。すずちゃんに絵を描いてもらって、「海を嫌いになれない」と気持ちをこぼすところがすごい良くて。家の事情で兵隊さんにならざるを得なくて、色々感じることも多かっただろうに、その感情をあまり表に出さないところもカッコよく感じました。

すずちゃんと一緒に布団に入るところの、複雑な感情が好きでした。
子供の頃のふわっと淡い初恋の喜びはありつつも、「今」の自分達の状況や感情と混ざり合って、単純に喜べない…でも相手への愛情はある…。苦しい。

周作に怒り出したすずちゃんを見つめる眼差しも暖かくて切なくて良かったです。

 

浦野すみ/小向なるさん

すみちゃん…! まっすぐで明るければ明るいほど、布団にいる姿の痛々しさが極まって…。
晴美ちゃんに次いで、一幕の展開が二幕に効き過ぎてしんどいキャラでした。

なるさんの骨格が綺麗で元気そうなのが、二幕で逆に辛い…。こんなにも生き生きと魅力的な人すら倒れてしまうんだ…という事実が感じられて。寅年生まれっぽさある。

お芝居も快活で、すずちゃんといいバランスなのが素敵でした。

 

黒村径子/音月 桂さん

「自由の色」神曲では?

初登場時はチクチク言葉小姑ですが、交流するうちに元モガらしいモダンさとサバサバした性格が出てきて、とても素敵なお姉さんになっていくのが、人間関係の妙を感じさせて良かったです。
でも設定やお芝居にちゃんと一本筋があるから、途中でキャラ変わってない?とはならないのがまた上手い。

今の価値観からいくと、息子を取られたことや、離縁することになったのは、「本当にそれは自由だったのか」「時代や状況に流されただけでは?」と感じてしまう部分もあるのですが

でも歌で殴ってくるから…

径子の選択なんだ…と思い知らされるから…

そういう意味で、ミュージカルのパワーを感じるキャラクターでしたね。

お着物もおしゃれで好き。

うっすらと「旦那と死に別れた」「離縁してきた」と言うセリフに対して、「死に別れてるならすでに離婚してない?」みたいな感覚を抱いていたのですが、「結婚時に黒村家の戸籍に入っていたのを、死別をきっかけに除籍してもらい、元の北條家の戸籍に戻した(それとも黒村姓は残したまま別の戸籍にした?)」なのかな。

 

加藤潤一

鬼いちゃん! デカい!

すずの描く鬼いちゃんのビジュアルは、原作そのままなのですが、うっすら似ててちょっと笑った。

RENT…その後もなんか見たかな? 久々にお歌を聴きましたが、安心できる声で好きだな〜ってなりました。

人攫いの化け物も、サイズ感とキャラがいい感じ! 人攫いなので悪いやつなんですけど、海苔で作った夜で寝ちゃうくらい可愛いやつなんですよね…。

この直後に「夢じゃない!」「海苔の数が合わなくて、お父ちゃんが慌てて納品しに行ったんだぞ!」って怒ってるのも加藤さんかな?
(ほぼ被りものとはいえ)早着替えすごいな…。

 

すずの幼少期/嶋瀬 晴さん

結構重要な曲の歌い出しを担当していて、うわー歌うまい! 胆力すごい! となりました。

広島弁が可愛すぎる。おっとりぼんやりあちゃ〜なすずさんを体現しているのが良かったです。

人攫いにあうところの、意外と動じてないところがめっちゃ可愛い…周作さんは(原作だと人攫いから解放された後、家族に泣きついているので、)実際は結構動じていたのかな。
このすずさんに出会ってたら、その後ずっと覚えてるだろうなと感じられて素敵でした。

 

黒村晴美/鞆 琉那さん

一幕の展開が二幕に効き過ぎてしんどいキャラNo. 1

明るくて可愛くて愛しいからこそ、奪われた時の悲しさが凄まじい…

「掘り出しもんみーつけた」が、アンジェラ・アキさんのCDで聴いていた時は、「なんか可愛いな…」という感じだったのですが、琉那ちゃんの晴美ちゃんが歌唱しているのを聴いて、「かかかか可愛い〜〜〜!!!」と脳がビリビリしました。大人にとっては面倒な整理でも、子どもにとっては宝探しみたいなもんだよなあと、納得しました。その後、お母さんの帽子を見つけてはしゃいでるのも可愛い…

可愛いからこそ辛い…

(着替える時間がなくて難しいとは思いますが)カーテンコールの時に、すずと周作が広島で迎えた子ではなくて、晴美ちゃんのお衣装に戻してあげてほしいなと思ってしまいました。あれめっちゃ可愛いので…。

 

北條周作/村井良大さん

推し…似合い過ぎ…

周作さん生きてたわ…

いろんなお衣装が似合ってて良かったですねえ〜! 結婚式の時の紋付袴も、衣装がいいだけでなく、裾捌きや所作がとても綺麗で好きだな…となりました。でも華美な印象ではなくて、歌われているような朴訥とした感じで。個人的に、お仕事の制服も全部好きですが、防空壕を掘ってる時のデロデロの服が大好きですね。リアリティがすごい。

初夜のやりとりも可愛すぎる! あれは…本来本当に傘も持ってくるものなんですかね…? えっちな隠語だと思って聴いていたのが恥ずかしくなるほど、ほのぼのとしたやりとりで、原作の空気感がよく出ていて素敵だな〜と思いました。

やっぱり初デートの時と「醒めない夢」のデュエットは尊い
二人が恋をしていくんだと感じられて、もだきゅんがすごかったです。映画を見ている時とか、欄干越しに海を見ている時の距離感も可愛かった…。

リンさんとの関係も好きで…多分そんな深く考えてないんじゃないかなと勝手に思っていて。
純粋に、シンプルに、目の前にいたリンさんを心から愛していたし、その気持ちも胸の奥に残っているけど、今は目の前にいるすずさんを大切にしてるんだろうなと感じていました。不器用と言えばそう…。

だからこそ、花祭り」での一瞬の邂逅があまりに美しくてたまらなかったです。

原作を読んだのに、話をド忘れしていて、冒頭のすずさんの嘆きが周作さんを失ったものだったかと思ってヒヤヒヤしていました。晴美ちゃんが亡くなったのは悲しいのですが、周作さんが亡くなっていたら、本当に取り返しのつかない鬱展開になるしかなかったので、本当に、本当に周作さんがいてくれて、死なないでいてくれて良かったなあと思いました。

歌も良かった〜やっぱり「醒めない夢」がすごいいい。「この世界のあちこちに」のソロ部分も伸びやかで素敵でした。
歌の伸びと声質の良さ、そして芝居のうまさが作品の傾向にバッチリハマっていると感じます。

いい作品に出会ってくださり感謝です。

 

 

本当に素敵な作品で…

まだ東京公演も続きますし、7月末まで全国公演がありますので、是非とも見て欲しいです!

うちもまた東京公演行きたいなあ…あととりあえず、推し誕と呉は行きます!