デスノート THE MUSICAL 感想
最高だったから観て。
ネタバレはしまくるからご理解よろしく。
東京建物Brillia HALL
今回の劇場! 出来たばっかりでツヤツヤです。
これまであの通りは、アニメイトまでしか認識していなかったので、その先にドーーーンと聳え立っているのを見て、おお……となりました。外壁のビジョンにもデスノートの映像が流れるらしいのですが、私は巡り会えませんでした。今度は長めに張ってみよう。
一階席前方は普通に見やすい! 椅子も良い感じです。トイレは(いつもそうだけど)行ってないので知らん! ロビーあつかいなのか、チケットもぎり前に広場があるのちょっと面白いです。
あ、オーケストラピットがあるため、最前列はE列です。
ただ個人的に音響が…好みではなかった……。
色々な劇場に行ってる中で、フォーラムの最後列最端くらいしか、微妙すぎる!ってなったことがなかったのですが(オーブとかもそこまで気にならない)、ここはびびるくらい音が響かなくてびびりました(語彙力)(個人の感想です)
舞台上の声が、客席との間にスクリーンがあるのか?ってなるくらい響かない。聞こえるんだけどくぐもっている。
張りのある高音は異様に響くけど、響きすぎて割れた感じでもあるし、音が下がるにつれてまたこもる感じになっていく。
あるキャストさんのブログに、声が響かない感じがする…とあったのですが、舞台上でも気になるのかな? 客席からも、拍手の音が全然響かったです。キャストさんやオーケストラさん達に届いてなかったらどうしよう…って不安になった……。
調節でどうにかなるかわからないのですが、これからの公演が少しでもよりよい環境になるといいなと思っています。
キャスト感想
相変わらず推し殿は最後だよ!!長くなるから!
L役:髙橋颯くん
アーティストさんで初ミュージカル! 歌がうまい! シンプルに歌唱力があるところに、ミュージカルとして言葉・心を届ける意識がしっかりと乗っているので、とても聞きやすいです。
あと、ものすごく動きがいいです。キレがある。月とテニスをするところもよく動いていて、細身で綺麗な身体だけに、とても目を引かれました。
表情と動きに緩急がつくと(無表情、動かないところがあると)、もっとLっぽくなるのかな?とは思いつつ…どこか幼げで、月くんと競い合うようなところのあるLはとてもかっこよく、かつ可愛いかったです。
ミサミサ役:吉柳咲良さん
可愛い…可愛い……いたいけで純真、でも苛烈で一途。レムが愛し子と想う気持ちがよくわかるミサでした。
まーた歌がうまいんだあ。感情がすごい届く歌です。お芝居も真摯で頑張っている感じで、それがまた命をかけて恋をするミサミサを、表現しているように感じました。ライブシーンも魅せるみせる! アイドルとしてのミサと、一人の恋する女の子としてのミサ、どっちも魅力的でした。
さゆ役:西田ひらりさん
全俺の妹(???) えっ、可愛い。ばきゅんして~!!
お兄ちゃんを慕う妹!ってのがめちゃめちゃ伝わってきて良かったです。
私のヒーローのところも、ミサミサと一緒に心を込めて歌っているのが胸にしみます。お互い心から、別の月/キラを慕っている声、姿を感じられると、より月の揺らぎが鮮明になるんですよね…。大本の曲の構成、物語との絡みも素晴らしいですが、それを表現しきった咲良ちゃんとひらりちゃんに感動しました。
レム役:パク・ヘナさん
あなたが神…いや…死神か……。歌でぶん殴られます。やばい。
あと美しい…レムの姿が、そのまま声の透明感と神秘性に重なって、すごい魅力的です。ミサミサを抱き寄せる姿が尊い…それだけに「愚かな愛」が涙腺を握りつぶしに来る。
歌はぱぅわー。わかんだね。
台詞部分の発音は、ややたどたどしいものの、原作のレムも、三点リーダー多用したしゃべり方だったのと、死神らしさも感じられるのでこれはこれであり!!となりました。
リューク役:横田栄司さん
芝居が上手い…やば。
デスノって結構ファンタジーなので、観客は置いてきぼりになってしまう、冷めてしまう可能性があると思うんですけど。横田さんのリュークが、物語の中にしっかりと生きながらも、観客にも視線を投げかけて、「おまえ達の話だよ」って伝えてきてくれるので、作品の中に引きずり込まれる感じがあって、ゾクゾクしました。でもそういうメタ的な振る舞いも、下手を打つと引き潮るんですよね。観客の気持ちが。そういうギリギリのところを的確に仕留めていくの、好きです。
村井さんが栗山さんに、リュークをいじりすぎるな的な(そんな仲良くないんだからって)ことを言われた話が好きなのですが、それでもまだわちゃわちゃしてて可愛かったです。
パパ役:今井清隆さん
頼れるパッパ……はちゃめちゃ歌がうまいし威厳があります。
「一線を越えるな」が最高すぎるんじゃあ~~善良・一般の正義を象徴する人で、ある意味Lよりも月と対照的なのが良いです。刑事達の歌もそうですが、パパの歌にも愛があって…ミサミサが歌う「命の価値は どれだけ愛したかで決まるのよ」というのが、実はデスミュのテーマの一つにもあるのかなと感じました。
原作と違ってパパは死なないので、その点はちょっとホッとする…でも月くんが死んだときのさゆちゃんとパパの嘆きがつらすぎるんだあ……
夜神月役:村井良大さん
ぼくのせかいのかみさま。
いやも~~~~~~~~ほんと好き!!!! 去年マシュマロで村井氏の好きキャラトップスリーの話を振っていただいて、その時にも「月くんが来たら順位が変わりそう」という話をしていたのですが、変わりました。
坂道ちゃん、ザッパ、月くん(天使枠:マシロ、羽水)(一般人枠:グレッグ、マーク、ミニョク、ビローン、甚八)です。いやでも他の子も好きだけど!!
まずは冒頭の「正義はどこだ」。
普通に、生徒に埋もれてるところがまず好き。
そこから手を上げて「でも、法と正義は……」から始まる歌。歌が本当に上手くなられた…のびがたまらなく良いです。ハイトーンが響く! 難しいメロディも難なく歌い上げる!! 低いところも無理なく響かせていてすごい。
えっ好きです結婚してください。
村井氏ってなんというか、一人でも芝居が上手い人で。
自分の中で脚本をかみ砕き、考え、創りあげたキャラクターを表現するのに長けていて。それはもちろん役者の素質として重要だし、風魔の監督(多分)も村井氏のことをガラスの仮面のマヤタイプ、憑依型だと褒めていたりもしたんですけど。
それはつまり「舞台荒らし」の可能性も内包しているわけですよね。一人で上手い。一人だけ上手い。みたいな。
でも、デスノート、特にデスミュ、あと栗山さんの演出って全部、人と人の間にある力場みたいなのが描かれていて。その中にいて、村井氏の月くん、その芝居自体が、人からの視線によって描かれた輪郭を持つことで、よりはっきりと、それでいて流動的で熱のある、生々しい存在になったんじゃないかなと。
何を言いたいのかというと、村井氏だけじゃなくて、冒頭にいる「熱っぽい視線を送る女の子」「手を上げて反論する子」「平和を唱える子」「笑ってスマホを向ける子」、みんなの視線や感情が月くんを創ってるよねっていう。
皆からの視線や切望、キラ…「殺す者」という名前の烙印を、村井氏自身が内面化して、月の狂気とキラへと落ちていく様を描いてる。もちろんその中に、全能感や優越心もあるし、選民意識もあるんだけど、「僕がやらなくちゃ」っていうその裏には確かに、「(退屈しきった)皆の声」があった。
それってすさまじいことですよ。
ねえ。
好き……(オタクの早口と急な限界化)
FBIを殺した後の表情と高笑いがすごく狂気を感じさせてやばかったです。
あ、あと一幕終盤のところでフードかぶるの、好き。ありがとう。フードをかぶっているのが好きなんですよ。これはただのフェチです。
あとね~~~~~~ミサミサとさゆの歌う「私のヒーロー」とパパとの「一線を越えるな」が最高だったんですよ~~~~~!!!!!
「私のヒーロー」では、さゆから兄への敬意や、あなたは優しい人でしょう、っていう呼びかけを拒絶したり、でも月の顔を呼び起こされたり。ミサミサからのキラへの思いを感じたりして。こう、二つの側面を持つ心の揺らぎが感じられて。
でも歌の後に、横田さんのリュークが囁くんですよ。
「お前はもう、人殺しだもんな」
これにさ~!!!ヒェ…ってなってさぁ~~!!
月くんの心が、ぐしゃってするのが聞こえるかと思った。
もう戻れないんだなあって。その前は普通の男の子で、可愛い妹もいたんだよなあって。それがあんまりにも辛くて。
パパとの歌の時は、自分なりに正しいと信じる道を行くんだ!!って真逆に歩き出してしまうのが悲しいですね。
Lとの歌も全部好きだ~~上の話でいうと、Lって割と孤独で、自分の信じる正しさと、月くんからのライバル視だけが、キャラ立ての基盤になるので、結構…結構難しいよね……これは難しい……。でも「死のゲーム」とか「最後の時」は歌でバチバチに戦っていて、見応えがありました。
終盤の展開もヒリヒリしてたまんなかったなあ!
小畑健展に行ったときに、こんなことを書いていたんですけど。
でも展示で、まさに月くんの最後の原稿をまじまじと見て…
月くんは人間として死んでいけたんだなあ。
みたいなことを思いました。
小畑先生の手で、精巧に描かれた人間の死の姿に、ゾクッとしました。生で、あのサイズで目にしたから余計に。
そして、月くんの人間としての最期というのは、デスミュのラストも同じなのかもしれないな。とも。
まさにこういう感じだった。
苦しんで苦しんでのたうちまわって、死にたくないって言って死んでいった月くんは、神でも救世主でも、殺す者でもなく、神によって殺される者、どうしようもない程に人間だった。
カテコのときもずっと放心状態だった…。息苦しくなるほど生々しい人間だったよ。
日々退屈しきった私たちは、偶像を求めていて。
それは神さまであったり、アイドルであったり、巨悪であったり、自分のロールモデルであったり、狂信的な理想であったりする。
その中で創りあげられ、人がまとってしまった偶像に、ぐるぐる絡む人々の想いや、その偶像自体の心のゆがみと揺らぎが、見事に描かれた作品でした。
古い漫画の2.5次元化、だけではなくて、確かに現代を風刺する物語だった。
めちゃめちゃすごかった。
はーほんま。ほんま。
好き………………(二度目の限界化)
こんなすごいもん創れる男好きになるに決まってるやん。
てわけで、是非見に行ってください…