魔界転生~!!行ってきたよー!!!推しののぼり~!!!!
とら色で可愛い(何でもかんでも引き寄せてときめく)
ずっと楽しみにしていたこの公演…実際マジで楽しかった……。
とりとめなく感想を書いていきます。
ネタばれ特盛りです。
個人の感想であり効果を保証するものではありません。
というわけでよろしくお願いいたします。
全体感想
滅茶苦茶ザックリ言うと、魔界転生の設定を使った、真田十勇士・大阪の陣の続編でした。
魔界転生の秘術も、単純に強い無念を残して死んだ人物や怨霊の復活術として扱われているので、転生後の身体の母体となる女との交合を~みたいなのはほぼないです(宝蔵院が近い事をしている程度) ていうかそれやってると、淀殿復活させられないからね…。
また、天草四郎が秀頼のご落胤だった(=淀殿は祖母で、復活させた)という設定により、宗教とか世界とか難しい事は置いといて、旧支配者vs新支配者=豊臣vs徳川の構図に落ち着き、わかりやすくなっていたように思います。
メインキャラクターである柳生や天草に、親子(父母と子)の絆、人としての在り方というテーマがしっかりと通っており、そこが役者さん達の力量も相まって、スペクタクル時代劇であり華やかな画のある作品でありつつも、人間味と切なさを感じさせる奥深いものになっているように感じました。
柳生の親子対決が一番盛り上がるのは、初期の映画版に近い構成なのかな…映画は見てないのでよくわかんないですが。でも天草との闘いも、武蔵との決着も、一つの余韻、あるいは大団円に落ちた影として作品に深みを与えていて魅力的でした。
真田の勘九郎さんの猿飛の、明るくてパワーのある快活なヒーロー像もホント好きだったんですけど、今回の上川さんの十兵衛の、ひょうひょうとしながらも背負うものの重さと影のあるヒーローも最高でした…。
演出系感想
演出も面白かったなあ…。
今回は基本的に、盆の上に載せられた半割のバースデーケーキみたいな足場だけ…かな? 斜めに切ったバームクーヘンを重ねて、芯に太いろうそくを立てたみたいでもある。
たまに低めの台とか、落ちた時用のクッションは出ていましたが、多分真田ほどやたら動く足場はないのかな…。
マッピングだけでなく、フルスクリーンに投影するシーンも多かったです。
正直、どこで何やってるかを見せてくれる地図に感謝した(地理がダメなニンゲン)
あと舞台の中程に、紗幕変わりの透明プレートを降ろして、そこに忍法髪切丸(死んだ女の髪を縒って作った、絶対に切れない糸)を投影して、プレート奥に居る人を縛ったり。あるいはプレート奥に人をかくして、入れ替わりにその人を斬首するシーンを写したり。
なんか、使い方が上手いというか、舞台という熱量で流されちゃうというか。映像関係は、結構面白く見られました。ただ、ボーリングの球みたいにごろごろ転がるデカい月はシュールすぎて笑ってしまった…しかも貼り付けた素材の継ぎ目が見えるの…。
殺陣も、上手い方が多いので見応えがあり…大本の構成やテンポ感も、すごい気持ちよくて好きでした。
呪文の話
メモ程度に。
Eli, eli, lema sabachthani?
十字架に磔にされたキリストが最後に言ったとされる言葉。意味は(本編中でも天草が言っているけれど)「神よ、何故我を見捨てたもう」
「エロイム・エッサイム エロイム・エッサイム 我は求め訴えたり」
Eloim, Essaim,Eloim, Essaim.
悪魔召喚の呪文。魔界転生の原典にもある。
エロイム=神、エッサイム=悪魔、神格を持つ高位の者への訴えかけ。
フルだと「Eloim, Essaim, frugativi et appellavi」らしい?
由井正雪達も多分フルで言っている。
「ディプソー」
Dipsô
ディプソォオオオ!!! 癖になるね。
意味は「渇き」
舞台『魔界転生』の物語での比喩表現として考えると、「無念」に近い意味になるのかも知れない。
各キャラ感想
まあ相変わらず、推しへの感想が一番長いから、一番最後にしますね。
はーーーーーかっこいい!!!
ひょうひょうとして囚われるものなく、度量の大きさを感じさせる旦那っぷりが格好良かった。キャラとしてそう振る舞っているけれど、情けが深くて…自己犠牲を厭わない…それゆえにお品さんや天草への思いやりが切ない。
宗矩との確執も辛い。強いからこそ、宗矩も惹かれて、反発して…でも十兵衛自身も、この世の中でしっかりと正しく生きてきた父への敬意があるんだろうな。
あと凄い、真面目で格好いいのに愛嬌があって…可愛い……困る(?) 由井正雪との淡々バイオレンスなやりとりが可愛すぎて爆発した。
和物上川さん初*1で、初めて殺陣を見たんですけど、ちょーーーーー格好いいですね…。
ラストも泣けました…一人業を背負って去って行く……旦那ぁ。
あの襟のビラビラが面白くならないのって才能だと思うんですよね(迫真)
美しかった。
美しく悲劇的で、憎悪に燃えて、でもただの一人の少年であったという幼くも脆い表情もある、そんな天草がとても愛しく感じました。お品さんとのやりとりは全部珠玉って感じだったなあ…。
高岡早紀さん(お品)
美しかった…。
母として姉として、一つの筋を通して生き抜いた美しい人でした。「姉弟? それにしては年の差が……」が、その場面ではギャグなのに、後々効いてくるのが好き。淀殿とのやりとりと、一人の母として子を思う心根で通じ合うところは、ボロボロに泣きました。
松田 凌さん(北条主税)
ツーブロック…(魔界TV参照)
見てる時に凌くんって気付かなかったな…滅茶苦茶可愛いですよね。主税。十兵衛大好きだし、坊ちゃんにも真摯だし。
この作品の中で、唯一完全な善性を持った子なんだろうなと感じました。それは影のある子にとっては時々暴力的だけど、救いでもある。ともすれば只の無神経になる子を、しっかり演じられていて凄いなと思いました。
玉城裕規さん(田宮坊太郎)
キャラとして一番好きかも知れない。玉ちゃんの個性と、坊ちゃんの悲しさがいい意味でスパークしていて。
仇討ちしかない人生への悲しみとか、転生してもなお癒えない渇きが、刺さるように伝わってきて…主税とのやりとりも本当に愛しかったなあ。
木村達成さん(柳生又十郎)
可愛かった。何故か頬紅濃いのが面白いんだけど、それだけに終わらないしっかりとした所があって。
日取りの変更をお願いするシーンとか、芯の強さや生真面目さが見て取れて可愛かったです。
猪塚健太さん(荒木又右衛門)
楽しそうだったな…??
初登場時から多分魔界衆? なので、なんか活き活きとしたところが印象に残っています。坊ちゃんとの絡みも、転生したからこその幸福と不幸を感じさせて良かったです。
栗山航さん(小栗丈馬)
面白フェイス2号…だよね?(今回双眼鏡忘れたので割とふんわり見ています)
柳生の門弟は皆愛嬌があって、好きになっちゃって、それだけに十兵衛の背負うものの重みが感じられました。
上川さんの「戸田ァ!!」って声が妙に記憶に残っている。言ってたと思う。多分。
門弟の中で一番初めに死んだ…? 門弟(というか、柳生衆というか)はみんな可愛い。
馬木也さんの「エロイム・エッサイム」が聞けるのは魔界転生だけ!!!!
悪い(ちょっとアホな)キャラの馬木也さん格好良くて可愛い~~上川さんのところにも書きましたが、口を割らせるためのバイオレンスが、さくさくっと可愛くて滅茶苦茶テンション上がりました。でももうちょっと殺陣が見たかった…!
生前の堅物な剣豪も格好良かったのですが、転生後の、剣への偏執狂っぽさがリアルで、良い意味で気持ち悪くて…好き…。
十兵衛対武蔵は、比較的さらっと進行するものの、十兵衛が魔界衆を打ち倒したが故の業を背負ったのが感じられて良かったです。
涙腺崩壊ポイントてんこ盛り過ぎて。
ゆう子さんご自身が「真田の淀殿は共感出来なかったけど、今回の淀殿を演じて、彼女自身も一人の女性だったのだと感じられた」みたいなお話をされていて。実際に見たら、ホント泣けてしんどかったです。心が壊れて、秀頼を探す姿も悲しく…。
美しくて、悲しくて…旧支配者、打ち倒される者の悲哀が感じられる演技、最高でした。
松平 健さま(柳生宗矩)
さまづけするしか???
村井 太刀筋はもう、素晴らしいの一言ですね。「松平さんの立ち回りだけで13,500円とれるわ…」っていう感じです。
まじそれな、って感じでした。
ずっとテレビでお姿を拝見していたまつけんさま…生で初めて拝見して……すごい格好良かった…。
速水奨さんの声について触れる時「マイク・スピーカーの性能が良くなる」みたいな言い方をするんですけど(音の圧、厚さが凄まじい為)、松平さんのお声もウォってなりました。
殺陣はもう、引力ですよね。視線が吸い取られる。あと、死ぬ直前の宗矩の、老いた演技がはらはらするほど痛々しくて…転生後の活き活きとした姿のコントラストが凄かったです。
野添義弘さん(宝蔵院胤舜)
皆本麻帆さん(すず)
可愛かった。
なんかいい感じにみんなキャラ立ってますよね…だいこん。
さてどんじりに控えしはー我が推しー!!!好き!!!!
甚八、めっちゃおもろいキャラだったなあと。
ひょうきんで、善意的で、でもトリックスター的でもあり、どうやっても憎めないし、いないと困るキャラ。
柳生衆では決してなく、滅ぼされた旧支配者側でありながら、今を生きる人たちを愛し、十兵衛の背負った業・闇の深さにも気付いている。
立ち位置・感情の置き所も難しいこの子を、丁寧に、村井氏しか創れない子として魅せてくれて、ありがとう…最高……となりました。
好きポイントをつらつらと。
・女装
お着物着てるの可愛い~~~~!!!!えっ、ホント美人じゃん?!可愛いし麗しいよ!!!!アイライン強めの真田・魔界メイク好きなんですけど、それで女装だからね。可愛いよね。
裾をからげて足を出してからの男っぷりの良さも、キュンときました。弁天小僧やろ??君の声で口上が聞きたい。
・十兵衛との関係
かーーーわいい。ほんと。将棋を指すところは屈指のほのぼのターン。
なんか、ただ仲良し!!きゅむきゅむ~!!ってだけではなくて、お互いの足元に落ちる闇を理解し、尊重し、踏み込まないところが、すごい好きです。
甚八は豊臣側、滅ぼされた旧支配者を見つめ続けた子で、その痛みの上に今の太平の世があるって知っていて。
十兵衛は、平和な世では真っ当に生きられない(必要とされない)、殺人剣の使い手である自分を知っている。
そしてお互いにそれを知り、だからこそ、甚八は柳生の里にひととき留まるし、十兵衛も柳生衆達とは違う関係を築けている。のかなと。
妖刀を作るために必要だからと、お品さんを殺して、その心臓、あるいはそこから作った妖刀を持ってきた甚八を、十兵衛はどんな気持ちで迎えたんだろうなと。作品の中ではそこは描かれてないんですが。
十兵衛は、自分が心臓を捧げるつもりだったけど、でも自分がいなくちゃ魔界衆を倒せないってのは、なんとなく感じ取っていたろうし。太平の世に必要とされない殺人剣を扱う自分が、そこでだけ必要とされるというのも…その後、もう人の世に戻れない事も。
同時に、そういう闇の部分を、甚八と自分だからこそ背負えるっていうのは多分わかっていたから、何も言わずに(心臓か)妖刀を受け取ったのかもしれない。
最後の「旦那ァ!」って呼びかけて、ついていこうとする甚八もね~~~~!!
十兵衛が絶対に帰ってこない事や、他の人よりも自分が一番そばにいられる事を、知っていたのかなとも思う。だから、この時だけは、十兵衛の領分に踏み込もうとしたのかも。でも十兵衛は突き放していくからね。似た闇を持っていても、甚八は甚八で、自分の業を背負わせちゃいけない…。
甚八が刀鍛冶を選んだ、っていうのも、なんだか十兵衛と対照的で好きです。
殺人剣を抱いたまま去って行く十兵衛と、これから殺人の道具から美しいものへと変質していく刀を、自らの手で創り出す人になる甚八。
・台詞や表情、芝居
めっっちゃ良かった…。
面白いところもサクッと照れなく言い切るから、ナチュラルに笑えたし、切ないところは、じわっと身のうちからにじみ出るような悲しみに震えさせられ。穏やかで陽だまりのようなところは暖かく。
村井さんの芝居が好きで好きでだから大好きなんですけど、今回の甚八はクリティカルヒットだなあと…。
立場や状況が難しいから、ともすれば振り回されがちになるキャラだと思うんですけど、甚八自身にきっちりと芯が感じられて、激動の中でも確かに彼が生きているように感じました。
割とRENTのマークっぽいところもあるのかな。マークよりも状況に干渉する(十兵衛とかお品さんとかに手を貸したり)ので、そこは違いますが。
俯瞰して、記憶して、心に留めて、そして自分自身もしっかり生きていくところが似ていると思いました。
・淀殿や天草、お品さんとの関係
同じ顔を持つ秀頼の関係者との関係。因縁めいていてとても良かった。
個人的には淀殿が甚八の顔を忘れていたのが、悲しくて悲しくて…本当に秀頼さまの事を忘れてしまわれたんだ…って泣いてしまいました。
お品さんの願いを聞いてあげたのも、ねえ。その前に天草と会って、彼とお品さんの絆を感じ取っているからっている部分もあるだろうし。
甚八って、元々真田でも傍観者というか、別に真田家に関係ある子ではなくて。
それが秀頼の身代わりになって、彼を落ち延びさせて、自分もここまで生き延びて、また豊臣の業を一人背負っちゃうってのが、悲しいし、甚八自身の強さとしなやかさを感じさせて、胸がきゅうっとなります。
そんな感じで。書き漏れたこともありそうだけど、とりあえずここまで。
魔界転生、めっちゃ面白かったし、人の生き様、ドラマとしてとても魅力的でした。
また次見に行くのが楽しみです!!!
*1:乾いた太陽を見た。赤真田は見てない