Tida-Tiger

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デジタル本多劇場 第二弾 感想。

natalie.mu

 

公演から半月近く経ってしまいましたが、デジタル本多劇場 第2弾の感想を書きます!!!!

 

公演概要

三密回避シチュエーションオムニバス舞台『デジタル本多劇場』」は、3密を回避したシチュエーションのみで構成されるオンライン演劇

 https://natalie.mu/stage/news/390845

まだまだソーシャルディスタンスの確保が重要な状況だけに、客席に人を入れず、また役者自身も三密(密閉、密集、密接)を回避した短編作品集です。観客はLINE LIVEで映像を視聴するだけでなく、コメントや投げ銭でコミュニケーションを取れ、新しい形での交流が可能でした。

やー、めちゃめちゃ楽しかったです。

 

余談、自分の話。

初めは、結構悩んでいました。
全部見るべきかどうか。

同じ内容を3公演×2日間の6公演。

1公演3,220円とお安いけれど、6公演全部見たら、19,320円。
午後いっぱい公演しているので、家事とか作業をしている時間にだだかぶり。

現場に行くなら、逆に気兼ねなく全通しちゃうんですよね。
もう現地にいるし! 家に一度帰る方がめんどいし! 家事もしようがないし!笑
買っておかないと売り切れた時に泣いちゃうし。
足代も公演数で割れば、1公演あたりは安くなるわけで。突如現れる謎計算式。

ただ家で配信を見るとなると、日常と観劇が切り分けづらいから、なかなか難しいものがあり…
ある意味そのシームレスさのおかげで、気軽に1公演だけ見れるって言うのもあるんですけど。
見るか見ないかと、おんなじものを何度も見るかと、おんなじものを全部見るかは、別の障壁があるじゃないですか。狂気とか。

全部…全部買って見るのか? 見れるのか?
本当に万が一、虚無舞台だったら辛くない?
直前までチケット買えるし、売り切れることもないから、もう少し様子見た方が良くない?
そんな理性が働いていました。

とりあえず、村井さんのアフタートークがある3公演のみ購入して、初回を見てから考えよう…と決めました。

 

結果:全通、投げ銭ランキング1位×3回

理性どこいったん?????????????

 

まあそれくらい面白かったんですよと。

 

各作品感想

「異常ありません」

脚本:有働佳史
出演:前野朋哉萩原利久

東西に分かれた日本、その国境警備をしている兵士二人の物語です。
先進的な東と、温かみのある西の対比や、ジェネレーションギャップの表現が面白かったです。ほとんど戦争の気配のない長閑なところから、お互いの思想や状況、理解のギャップが明らかになるに連れて、ヒートアップしていき、あわや国境線を超えて戦いが…と言うところまで行きます。

お二人のキャラクター性やお芝居がとても良くて、グイグイ引き込まれました。
国境をさかいに、世界観ごと違うレベルで断絶してるのに、確かに同じ物語に息づいているのが感じられました。

また、三密回避を設定に盛り込むだけでなく、それをキャラクター、物語にもしっかり組み込んであるので、「まあこのご時世だしこんな位しかできないよね」みたいな残念感が全くなくて凄かった。これは他の作品でも見られる特徴で、さすがは本多劇場…有働さん…となりました。

 

「正義の味方、怪獣B」

脚本:有働佳史
出演:佐藤貴史、中川晴樹、大野紘幸

遊園地常設のヒーローショー、そのスーツアクターのバックヤード悲喜交交。元レッドで現在怪獣B(おじさん)、ピンク(おじさん)、現レッド(青年)の、引退を含めたこれからをめぐる物語でした。

いつものさとにいっぷりが可愛かった〜。アフタートークショーも含めて一番笑ったかもしれません。
怪獣Bの、過去の栄光にすがっている切なさとか、ラストの清々しさと切なさとか、物語とさと兄のいじられ系おじさんが遺憾無く発揮されていた。
アフタートークショーでの音声の公開収録(機材トラブルで音声がないタイミングがあった)も面白かったし、怪獣の着ぐるみを着るときなど要介護な裏話も可愛かったです。

これは他と異なる3人芝居で、おじさん2人VS青年1人と言う構図なのですが、おじさん2人がお互いにしゃべり合うことで、それぞれが胸の内に秘めている悩みとかが、自然と引っ張り出される感じがあってよかったです。

 

「24年と7ヶ月」

脚本:竹田新
出演:遠藤久美子、幸田尚子

可愛かったぁ…。美容品詐欺事件の容疑者と目され拘置所にいる女の元に、その女の実の娘が面会に来る。娘は、事件の真相を女に問いただすが…。と言う感じです。

ポヤポヤ天然美魔女ママ(60↑)と生真面目な娘の取り合わせが可愛かったです。天然ママへの真面目娘のツッコミの鋭角さがよかった。ポヤポヤと思わせて、娘想いなところを覗かせたりするのもポイントが高い。

アフタートークショーでも言われていましたが、ママ役のエンクミさんがポロリと涙をこぼす瞬間が、美しくてたまりませんでした。

 

「今宵、バルコニーの上と下で」

脚本:有働佳史
出演:村井良大昆夏美

はい! 大本命!! 推し!!! そして安心安全安定の彼女役昆ちゃん!!!!(アダムスぶり2回目) 楽しかったです。

ロミジュリの現在本案版。ロミ雄もジュリ江も、現代っ子ぽくスレています。LINE交換したりもする。連絡つかなくてやばいことにはならなそうなのが安心ですね(?)

ジュリ江の純情ヤンデレと煽り顔が可愛かったなあ。

これ。

ロミ雄の感情の緩急も良くて、好き!ってなったり、立場判明やヤンデレ化にドンびいたり、キモいって言われて怒ったり、煽られて凹んだり、名家の子息あるあるに共感したり……等身大の青年たちって感じに親近感。

それだけに、話してる内容自体がそこそこ生々しく、下手な人がやると気持ち悪い感じが出そうなんですけど、お二人とも上手いし声がいいのと、テンポ感がすごいいいので、ギャグとしてしっかり成立しているなと感じました。

推しは公演内で一番動いていたと思う。

 

全体についてとアフタートーク

めちゃめちゃ面白かった……!!

(総評)

上の方でもチラッと話したんですけど、この作品群って一定のメソッドに則っていて。

・三密回避を徹底
・回避自体を設定に盛り込む
→国境、スーツ、壁、高低差

・キャラクターを対比的な配置、設定にする
→少人数でも会話の幅が広がる
→キャラにコントラストを持たせてキャラ立ちをよくする

・キャラクターに三密回避を乗り越える意思を持たせる
→設定と物語の親和性を高める
→話のダイナミズムを産む

みたいな(24年と〜のみ、最後の「三密回避を乗り越える」が若干薄い印象。心の距離を近づけるスタイル)

そういうふうに丁寧に構成されている作品がめちゃ好きなので、テンション上がりました。

 

あとね〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
推しが天才でね〜〜〜〜〜〜?!

アフタートークで有働さんが「そろそろネタ切れしてきたので、皆さんにも話を考えて来てもらいました」と言って、村井氏がネタを披露したのですが、それが……ちゃんと……上記のメソッドを押さえていて……は?天才か??ってなりました。

大体のネタのあらすじ

・新人神様とベテラン村長
 村にやって来た神様と、これまで他の神様を祀って来た村長のお話

・泥棒と綱吉公
 盗みに入った泥棒と、障子越しに鉢合わせる綱吉公。泥棒は「自分は犬で、恩返しにしに来ました」と主張。障子を開けられたくない泥棒と、開けてみたい綱吉公の攻防。

・成仏したい幽霊と怖がりの女の子
 入居した部屋は幽霊付きだった?! 成仏したい幽霊と出会った怖がり女の子は、どうにかして幽霊から距離を置こうとするが……最後に明かされる幽霊の過去が切ない。

 

クオリティも高いし……この本数を持ってくるのもすごいし…あと綱吉公のお話を持って来たのがね、すごい、ファンサービスだなって思って…

好き…ってなりました。

 

本当に素敵な作品に参加されて、幸せでした…。
また劇場公演が再開された時に、推し作品が見られたら嬉しいです!!!!