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来て、見て、書いた。

自ら足を運び目にしたものを書く方向性。

アイワズライト プレビュー公演 感想(ネタバレ有)

村井良大 舞台 感想

13thACT_i was light

アイワズライトの開演、おめでとうございます! 千秋楽まで、しっかりと物語を描ききれますよう、お祈り申し上げます。

 

8/3のプレビュー公演を見た感想をざっと。

村井さん偏愛、最後の方にネタバレや考察まがいのメモ有り、ほんの少し腐女子が顔をのぞかせます。1回しか見ていないので、これから感想が変わるかも知れません。あとすっごい恥ずかしいんですけど、気づいたら手持ちがなくて、パンフレットも脚本もCDも生写真も買えてないので、チラシに挟んで下さったミニサイズのキャスト表を頼りに書いています…これホント助かります…ありがとうございます。次に行った時には全部買います…スマホケースも買う……。

 

全体の感想

【公式のあらすじ】

その目の不自由な男の子は、深い森の中で「ピーターパン」の物語を描いていた。
その隣で物語を記録していく親友がいた。
そして終わらない物語がゆっくりと動き出す。
かつて光であった全ての「あなたへ」旅立ちの物語を。

 

物語イントロダクション『アイワズライト』

(公式Twitterより転載*1

2012年に劇団エムキチビートで初演された、ストレートプレイの作品です。複数の時系列が走る、目の見えない青年の人生を巡る物語です。

目の見えない青年マシロは山奥の施設で、空想の物語を作っている。その傍らでそれをパソコンに記録するハイバ。その物語はピーターパンを基にした創作のお話。しかしそこは震災によって立入禁止区域に取り残された場所だった。そこを訪れるボランティアスタッフの勿忘(わすれな)、その出会いで物語が進みます。ピーターパンの時間をウエンディが動かしたように。目の見えないマシロが瞼の裏で描くピーターパンの物語は、彼の過去に繋がる。そこに眠る真実は?彼のネバーランドは一体なんなのか?幾重の時間軸と人生が混じる、物語。

主演を村井良大。そして、黒沢ともよ川村ゆきえ、末原拓馬、大谷朗など実力派の俳優が固め、オーディションで選ばれたキャスト陣とエムキチビート劇団員が全ての世界を作ります。脚本演出は元吉庸泰。全てリライトして今作、エムキチビート『アイワズライト』2016年8月3日より新宿は紀伊國屋サザンシアターで上演です。

ひどく心を揺さぶる作品でした。悲劇……というよりは、救われたさの物語というか。救いの物語じゃなくて、救われたいという想いの物語。それが悲劇と言えばそうかも知れない。真実と虚構・過去と現在が入れ子構造になっているので、1回見ただけだと、全体像が分りづらいのかなとも思います。

冒頭の、イメージの奔流と音楽の高まりが重なるところが、本当にゾクゾクする。ここで少し泣きそうになりました。

稽古場で撮影された、冒頭部分の映像。劇場では、舞台装置が設置され、衣装や投影映像などが加わるため、熱量やイメージが更に広がっていました。

舞台は、前方1・2列目を撤去してせり出した、上手奥から下手手前に向かって下がるタイプの、変形八百屋舞台。下手側は空いていて、ピアノ・ヴァイオリン・チェロの奏者さんがいます。上手側に2脚の椅子。白い廃屋でありつつも、投影スクリーンとしても機能する美術が美しいです。美術の奥は……見てからのお楽しみ。ある意味、チラシの裏表のイメージと同じになっていて、そんな細やかさも好きです。

物語全体で、各々の救われたい想い・許されたい願いが絡み合っていて、とても切ない。

あと滅茶苦茶正直に申し上げますと、ツボにハマりました…萌えツボに……。

 

キャラクター感想

村井良大さん:マシロ/ピーター・パン

盲目の少年。となっていますが、実年齢は多分22~3あたり。幼さや愛らしさを感じる演技にキュンときます。この芝居の傾向は多分、真実への伏線なのかな。純粋に可愛いのでつい笑顔になってしまいます。所々黒い(献身的なハイバを邪険に扱う。白杖で人を攻撃する。絶望故に暴走する)部分もあり……そこもすごく良かったです。

盲目のため、視点を人に合わせることがないのですが、その芝居が凄く良くて…。ビジュアルボーイズの日記で、目が疲れる…的なことを言っていたことがあるのですが、それもそうだろうなあと納得できる感じです。また白杖の使い方も上手でした。

終盤近くなると、感情を爆発させるシーンがあるのですが、そこもホント良かった! 絶望、怒り、憎悪、寂しさの慟哭。こういうお芝居は、マホロバのザッパちゃんぶりかな。殺意の衝動とかも、ヒリヒリして良かったのですが、叫びを交えたのも好きです。感情が伝わってきて、こっちまで震えてしまう。

細かい殺陣とか、コミカルなやり取りも良かったなぁ…村井さんの色んなお芝居が観られてハッピー。元吉さんの脚本・演出に感謝です。

 

・末原拓馬さん:ハイバ

マシロの側にいる男。マシロと同い年。マシロに対して凄い献身的で、でもそれが、自分自身の救いでもある切なさ。マシロに邪険にされた時や、マシロが侵入者達に対して好意的な態度をとっている時の表情がいい。自分のために、マシロを守ろうとしているんですけど、同時に守られてもいるというのが…。

末原さんは、極上文学のKの昇天ぶりに見たのですが、身体の表現に引き込まれるのが凄いですね…。指先一つに意味がある感じ。灰色の衣装ですし、普通の男性……といった風貌なのに、目を引きます。

 

川村ゆきえさん:ワスレナ

災害支援ボランティアで、とある理由からマシロ・ハイバのいる地帯に入ってきた。劇中で、雰囲気美人って言われてるけど、普通に美人だからな?!!となる。母性を感じさせるけれど、決して押しつけがましくなく、自分自身でも想いを背負っている、その佇まいが美しいです。

彼女のお芝居きっかけで、過去に移行するところもあり……回りが作り出すイメージに飲み込まれず、立ち位置がしっかり見えるのが凄いなと思いました。

 

・山本侑平さん:カキツバタ

災害支援ボランティアで、ワスレナのストーカー。落とし物を拾ってもらっただけで恋に落ちる純情さと、発信器を仕込む執拗さが同居している。割と変な人だし、空気読まないし、マシロに暴言を吐かれる(「ねえ、ストーカー」「ひょうきん族!」可愛い)ことも多いのに、不思議と憎めないし、誰かの救いになる。山さんの可愛さと度量の深さが生きてる感じがしました。

諸々あるんですけど、最終的にワスレナとカキツバタには一緒に幸せになって欲しい。

 

黒沢ともよさん:ティンカー・ベル

ピーター・パンの側にいる人間サイズの妖精。純粋に可愛いのでつい笑顔になってしまいます。容貌が可愛い。プリキュアばりにふりふりたっぷりのスカートから伸びる脚が良くて…衣装さんGJです。声質も通る声で、凄い好き。お芝居も丁寧で……動くと愛らしさが増しましになるのすごい。でもただ可愛いだけじゃなく、同時に強さ・弱さも見えてたまらないです。ティンクの周りにしかれた伏線が回収される時の、ゾクゾクとした感覚と切なさも良かった……。

 

森本亮治さん:スオウ

ピーター・パンの友人?であり、ロストボーイ(大人になれない子供たち)のリーダー。割とティンクに頼りにされている。ピーターへ信頼や思いを寄せる様子もすごく良い。性根のまっすぐした感じが心地よい。森本さんはペダステ初演ぶりに見たのですが、なんか若返っていた…気がする…。

 

・海賊組

若宮亮さん:フック・ブラック
天野翔太:ススタケ
若林亜樹:サビアサギ
内田靖子:ミズアサギ

フック・ブラックによる謎のレクリエーションタイムが可愛かった。アサギーズもいちいちポーズをとって可愛い。ススタケ君のポーズもよく……あれを実際にやると、ホントふがふが言うしかないんだなぁと実感できました。

大人の狡猾さを持ったキャラクター達。よく動き、叫び、物語をぐいぐい動かしていくのが凄かったです。

 

・インディアン組

長谷川あかりさん:タイガー・リリー
望月ミキさん:ブラウニー
太田守信(エムキチビート)さん:ミドリガオカ・エンジ

小さくて可愛いのに姐御肌なリリーと、その脇を固める姐御・若頭が格好いい。インディアンというかエキゾチックな感じ。リリーがピーターにべた惚れなのが、また可愛いんだ…。こちらもよく動き、物語を動かしていく。

太田さんは自殺支援者であり、マシロ達のいる場所に因縁を持つ男性も担当。独特な振る舞いで、不穏な空気を残していくのが、次の展開への興味をかき立てます。

 

・ロストボーイズ・トケイワニ

林 愛子さん:トケイワニ・母
福井将太さん(エムキチビート):パーター・ピン 海賊 ロストボーイ
宗形拓樹さん(コラボレーションユニットことのは):ワイルド先生 海賊 ロストボーイ
新藤みなみさん:ロストボーイ 海賊
菊池真奈美さん:ロストボーイ 海賊
小島里砂さん(コラボレーションユニットことのは/岩淵ぐるうぷ):ロストボーイ 海賊
橋本裕介さん:学年主任 ロストボーイ 海賊
郷 寛樹さん(劇団俳協):ロストボーイ 海賊
平井杏佑さん:インディアン ロストボーイ
氏家綾乃さん(38mmなぐりーず):ロストボーイ 海賊
大洞志津久さん:ロストボーイ 海賊

こう並べると、アンサンブルさん凄い沢山いるなぁ…でもそれぞれに個性があるし、その瞬間の場面に、確かに必要なんだと感じるのがまた凄い。トケイワニは個人的に怖いです。大洞さんは子役さんなのですが、しっかりお芝居されていて…あと村井氏が彼女をぎゅっぎゅしている時の笑顔が最高でした。存在に感謝。

 

・大谷 朗さん:スミムラ

良いおじさま…キャラクターといい、声といい、お芝居といい、良い感じに深みがあって好きです。嘘はつくけどとてもいい人。献身的で内省的。この人がある意味物語を動かし始めたと言ってもいいかもしれない。

 

 

 

以下、ネタバレ。

 

 

 

ネタバレ感想・考察

・超・ネタバレ

かなり場面が交錯するのと、キャラクター自体も割と難しい部分があるので、一見して分りづらい印象…なので、とりあえずプレビューを見て、何となく自分で想像した感じに並べたり書いたりしてみます。

見る予定の方、自分で考えたい方などは読まないよう気をつけて下さい。

【キャラクターについて】

・黒沢ティンク:正体は、15年前、屋上から飛び降りた盲目の少女・ましろ。少女はその後、自分の友人であり、自分の死をきっかけに狂ってしまったはいば=村井マシロに寄り添っていたらしいが、マシロはそれを知らなかった。村井ピーターがティンクの言葉を聞くことが出来ないのは、そのせいでもある。5年前のマシロとハイバの物語をきっかけに、マシロはましろの存在に気づく。

・村井マシロ:本当はましろという少女の側にいた、はいばという少年。下の名前は「たっちゃん」?(8/28追記 コウイチでした。) ましろのいじめに荷担してしまったことや、その直後にましろの死を目撃してしまったことにより、精神に破綻を来たし「自分はマシロ(だから、ましろは死んでいない)」と信じ続けてきた。震災の時にハイバと出会うことにより、自分がマシロであるという肯定を得る。ハイバと共に、ましろが生きていた頃をなぞり、物語を何度も書こうとするが、自らの犯した罪や苦しみに直面してしまい、頭痛・嘔吐の症状に襲われてしまう。作中のピーターが飛べないのは、ましろの後を追って屋上から飛べなかったことから。実は震災の時、ハイバと出会った直後に死んでいる。

・末原ハイバ:本当はましろとはいばを虐めていた一人の少年(名前が分らない…)。自分の行いを悔い、中卒後(高卒後?)、介護職に就く。震災直前に、マシロがいる施設に赴任。マシロと出会い、ハイバという名前・役割を与えられることで、自分の行いを贖罪するきっかけを得る。自分がハイバではないこと、マシロの正体について自覚的。実は震災の時、マシロと出会った直後に死んでいる。

・ピーター・パンの物語について:基本はましろが書いていた物をなぞっている。たまに混ざる過去は、ましろの立場にはいばが入った状態のもの。ラストだけ正当な記憶(ましろ=黒沢さん)のものが再生される。

【時系列順】

(時間表記は、ワスレナがスミムラのインタビューを受けている時期を基準に)

・15年前

少女ましろ(黒沢さん)が転校してくる。母親(娘の障がいを受け入れられないタイプ)の希望により普通学級に入るも、いじめに合う。ネクラと呼ばれていた少年(8/28追記 はいばはバイキンと呼ばれていました。ましろがメクラ)はいば(村井さん)と図書館で出会い、仲良くなる。ある日、屋上にていじめっ子に隠れんぼをさせられている際、いじめっ子に逆らえなかったはいばからも、辛い言葉を投げかけられてしまう。その後、投身自殺。

はいばは発狂。自分をましろと信じてしまう。精神的理由により目も見えなくなる。その後、療養所(と言う名の収容所)に入れられてしまい、母や親族からの見舞いも絶える。スミムラ(ましろについている養護教諭だった)やハイバも、自分の行いを悔いるように。

(空白の10年)

・5年前(よりちょっと前)

震災発生。入所者のマシロと職員のハイバが出会うも、その後の崩落で死亡。魂だけが滞留し、マシロ・ハイバとしての生活を始める。

・5年前

ミドリガオカに連れられて、ワスレナが施設にやってくる。ストーキングしていたカキツバタもついでに。そこでマシロ・ハイバと出会い、彼らとピーター・パンの物語について聞く。二人の物語が動き出し……そして、死を迎える。

・現在

ワスレナにスミムラが接触。彼女がブログに書いていた、マシロとハイバの物語について聞き取り始める。

ザックリと……こんな感じ。マシロとハイバは個人的には生きていて欲しいのですが、多分死んでいるのかなぁと…。

 

・元ネタについて

小ネタがちょいちょい挟まるので、それぞれの元ネタを簡単に書き出していく…お笑い系は弱くて、ほぼ分らないのもあり、かなり漏れがあると思います。

海賊の名乗り:アニメ版ワンピース 初期OP曲「ウィーアー」の歌い出しの歌詞。ウィーアー! きただにひろし - 歌詞タイム

ススタケの戦い方:ワンピースのキャラクター 三刀流のゾロを元にしている

インディアンのイメージ:極妻系とキル・ビル

フック・ブラックのレクリエーションタイム:ミュージカル「エリザベート」 最後のダン

ワイルド先生:スギちゃん

ひょうきん族ひょうきん族

余談ですが。こういう小ネタが頻出するのは、ピーター・パンの物語の中だけ(多分)なんですけど、それが、中学生が書いた小説だな~って雰囲気になっていて、妙にリアリズムを感じます。意図してやっているのかは知らないですが。

 

・マシロとハイバ

 この……救いのための救われない共依存……すごく好きです…。

マシロは自分がマシロであるためにハイバが必要だし、ハイバは自分の罪をあがなうためにマシロが必要で、その癖お互いに利己的になりきることは出来ずに、お互いの幸せを祈っている感じが……最高に萌えます。BLとして認識しているかというと、そこを通り越して性別も何もなくその関係性が尊いんです、ハイ!!!という感じなのですが。設定としては百合でも全然いける。けど、この二人の役者さんだったからこその愛おしさなんだろうなとも思う。ハイバがマシロの頭を撫でたり、何故か指を絡めた手のつなぎ方をしていると、大変眼福です。あとマシロの目が見えないからといって、ガンガン顔を寄せていくのが…可愛い…。村井さんのブログで、髪もハイバ役の末原さんが切っているという最高にときめく情報が落とされて、尊さに打ち震えました。

 

・マシロのこと

マシロの衣装、だから真っ白なんだとは思うんですけど、白いために投影されている映像に入り込んでいるのが、何となくマシロらしいな……と思う。というだけの話。

あと、村井マシロの性自認が気になる。女の子だと思ってる? それとも男の子?

 

・母性について

ワスレナとトケイワニ=母親のことが気になる。母として姉として。マホロバの時も、母性と世界樹信仰みたいな事を書いたけど……単に自分の趣味的なものかも知れない。

マシロが母親に向ける「裏切られた!」という気持ちが、ましろママ(障がいを受け入れられない母)とマシロママ(狂った息子を置き去りにした母)への気持ちが重なって出来上がったもののように感じられて、そこがまたましろとマシロが混然としていて、何となく好き。

 

・名前の意味

色組と植物組が割とメインでいる。それぞれの役割の別はあるのか気になる。

色組:マシロ、フック・ブラック、エンジ

植物組:ワスレナ、カキツバタ、ススタケ……

中間組:ハイバ(灰・葉? 榛葉?)、スオウ(色・花にあり)、ブラウニ(茶? ケーキ…?)、ミドリガオカ(緑が丘。エンジも同一人物が演じている)、スミムラ(炭村?)

 

・関係あるような無いような

チェルノブイリの春(同所に収蔵されている「フクシマの傷」も)が頭をよぎる。放射能に汚染された森の中の、静謐さ、美しさ、目に見えない死、目に見える命……。