生きる!見てきました!
とりあえず初日、二日目マチネで全キャストコンプリート(組み合わせコンプではない)したので、ざくっと感想をば。
個人の感想につき、ご理解ご容赦よろしく。
ひさびさの感想過ぎて、いつもどう構成してたのか忘れちゃいましたわ。
前提
今回は原作である映画も、初演ミュージカルも見ずに行きました。
なのでどう違うとかそういう話は一切出来ないです。
あと事前番組も(メモしてたのに)そこそこの確立で見そびれているので…なんか…俺は弱い…弱いオタクだ……。
全体感想
なんかホントごめんなんだけど、怒り7割、切なさ3割で見ていました…!
歌がめちゃめちゃいいし、演出も面白いし、構成が上手で飽きさせないし、勘治の人生についても胸に迫るものがあるんだけど、光男以外の周囲の人間があまり好きではなくて…
その上すごくいいメロディで上手に歌うから、感情があおられてしまって大体怒って終わってしまった。
前にウェストサイドストーリー(来日版)の感想でも言った……と思ったけど言ってなかった。
普通の人、特に多勢・マジョリティとその無神経さが基本的に怖いし、好きではないので、それが歌に乗って自己主張をしているのを聞くと、心がワーってなるんですね。
私がマイノリティか、特別な人かというのはさておいて。
めちゃ怖いなってなるし、転じて、許せねえ!!って気持ちにもなりやすい。
いや…だって許せなくない? 許せないですよ…。
勘治があんなにがんばっていたのに、助役や周囲は全然理解しないどころか邪魔をするし、光男は親の葬式で、敵みたいなのに頭下げさせられてるんですよ…??? 可哀想すぎる…。助役とかまじでぎったぎたにされて欲しい。あとチクチク嫌み言ってくる人たちが大嫌いすぎて発狂しかけた。
あと生きていてなんぼという自分の思想もあって、光男が真実を知ったときに、何を思うのか…後悔を抱き続けてしまうのでは…孝行をしたいときに親はなしどころではない……となって、泣くよりも不安になってしまう…。
ちなみに光男についてはあまり「何やってんだよ!」とは思ってないです。多分一枝にヘイトが行ってるのと、親子だからこそわかりあえない、近づききれないみたいなのはわかるから。
ビリーは最終的に理解、共感、カタルシスが結構明確なのと、仲間じゃないって迫害するしない(むしろ助ける)のさじ加減が上手なので安心してみていられるんですけど。
生きるは、周囲の人間の(しかも勘治への共感があまりない)歌の方が多くて疲れるのと、助役と光男の最後のやりとりも含めてかなりしんどいので、しんどすぎて怒ってました。
日々、これ絶対作り手が意図した見方・受け止め方してないよな~~~!!っていうのをめちゃ感じつつ見ています。
感じてはいるんだけど、どこで泣けばいいかもわからない状態です。
各キャスト感想
相変わらず番手を無視して推しは最後。
渡辺勘治/市村正親さん
愛しいな…ってなりました。
話のはじめの方の体の小ささが本当に、定年間際であとは静かに余生を過ごすのみ、って雰囲気ですさまじい。演技ってこんなに雄弁なんだなあって思わされました。
カフェでとよと向かい合う所からのバースデーの流れも本当に好き。戸惑いからの気づきの空気感の変化がたまらないです。
お歌も本当にすごいしねえ~~!!
シンプルに、ゴンドラの歌の切々としたところが好きでした。
渡辺勘治/鹿賀丈史さん
2幕目の、生気を取り戻した勘治が格好よくて好きです。
それだけにたらいまわしされたり、料亭で必死に助役達に懇願するところが悲痛で辛かった…。終盤の展開もすごい「悔しいな」って思ってました。
2回目のバースデーを経て息を吹き返したからこそ、完成目前で倒れたその気持ちが苦しい…。
バースデーソングの鮮やかで浪々とした歌声が半端ない。
今回のバージョンのCDもほしいな。
小説家/新納慎也さん
すごみと飄々としたところがかっこいいなあと。
ついつい勘治に入れ込んでしまう人の良さが可愛いです。でも小説家自身もいいやつだから、酒屋のおいちゃんとかも手伝ってくれたんだろうな…
マントさばきも芝居も歌も大好きです。ある男…の真摯な感じが好み。
小説家/小西遼生さん
色気がすごい…。すごい…すごい好きなんですよね……綺麗だし…
どちらかというと享楽的、刹那的な印象の小説家かなと。それだけに勘治にほだされて、ちょっと人間味が出てくるのが可愛くてたまらない。
人生の主人になれ、が、いい味出してて好きです。
小田切とよ&渡辺一枝/May'nさん
シェリル好きなんですよね…映画版で幼なじみ属性がついたから…
それはさておき、伸びやかでりりしくて、高いところも低いところも聴き応えあるお歌たまらないですね。
とよの快活さも好きでしたが、どちらかというと一枝の銀座や映画に行っていたときの衣装や、優しくも先進的な雰囲気が好みかも。
小田切とよ&渡辺一枝/唯月ふうかさん
カワイイ~~~可愛い…好き……。
ふうかとよの、「何で私なの?」とか割とズバッと言ってくるところも、素直にそう思って言ってるんだなあって思えるまっすぐさがあって、好きです。一枝の時も、光男とのやりとりがあったかくてかわいかったなあ。お腹に耳当てるのてぇてぇかった。
お歌も気持ちよくてたまらん…。
ただ一枝自体はかなり嫌いな部類の女性で…
人の関係を勘ぐるのは、個人の考えなので好きにしたらいいと思うんですけど、それを他人に言って回ったり、それを元に他人を動かそうとするのは、個人的にNGなんですよね。大体ろくなことにならないので。実際なってないし。
あと女との喧嘩で一番聞きたくないワード「私とどっちが大事なの?!」繰り出してるのがすごいイヤ。
とはいえ光男が選んだ奥さんなので。あとやっぱり光男と一枝の子どものことも思って、勘治は公園を作ったわけでしょう…それは尊重しないといけないなと思って…。おもてるんですけど……うん。
「生きる」の物語の中で、生き生きと時代性や人間が描かれているだけに、その人間が嫌いだと結構……結構色々しんどいのでした。
助役/山西惇さん
ハチャメチャいい役者だなあ!!!!!(半ギレ)
こんなに嫌いなキャラこれまでそんないなかった気がします。泥土と金と脂の匂いが混ざった雰囲気がある。
ここまでリアルに作り込むと「このキャラが歌う?」ってなりそうなんですけど、結構シームレスに、キャラブレせず見事に歌うんですよね。そこも本当に技術力、演技力あるんだなあと。
まあ……助役……めちゃめちゃ嫌いなんですけど…。
渡辺光男:村井良大さん
個人的にかなり可哀想キャラです。
たった一人の肉親である父とわかりあえてないこと。
無理解や対立を扇動するような人がそばにいること。
大事なことも死ぬまで伝えて貰えなかったこと。
それでも喪主を立派に勤めようとしてるのに、葬式で騒がれたり、結果的に親の仇とも言える男に頭を下げることになったこと。
えっ……しんどくない????
唯一のソロ曲である、「あなたに届く言葉」も、思いあぐねているうちに結局届かないわけじゃないですか…。
しんど……。
もちろん光男が完全に被害者というわけではなくて、もっと話せよ!聞いてみろよ!思い込みで動くな!みたいなのはあるんですけど。
とはいえあの時代に、「たくましく」といわれて育ったら、そんな細々意思疎通するような人間にはなれないだろうなというのもあるので、むべなるかな…という風に思っています。
村井さんのお芝居にも、勘治へのさみしさや痛みがあり、まだ、おかあさんを亡くして落ち込んで、ブランコに座っていた頃の子どもの光男が胸にいるのかな、と感じられるので、さらにしんどい。
「わかってほしい」の響きが綺麗でね~~~切ない~~!!
幸せになって欲しいです。
そんな感じで…私自身は謎に怒り7割ではありますが、本当に素敵で胸に来るものがある作品なので、是非とも見て欲しいです。
私は次に見に行く前に、映画版も見ようと思います。