Tida-Tiger

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ピカソとアインシュタイン-BLUE- 感想

ちゅーわけで、見てきました! ピカアイ! BLUE!

病み上がりマンで体力なし子だった為、マチソワで両バージョンを見る予定が、急遽ソワレをお譲り…とりあえず後日ROSEを見る予定です。

 

なので、とりあえずBLUEを見た印象でざくざく感想を書いていきます。

全部極々個人的な感想なんでご注意下さい。

あとネタバレはしまくる。

 

 

作品について

ストーリー

舞台は、1904年のパリ。灰色の19世紀が終わり、20世紀の始まり。芸術家が集うバー“ラパン・アジール”では、刺激的な会話が繰り広げられていた。
もてなすのは“ラパン・アジール”の主人フレディ(間宮啓行)とジェルメーヌ(香寿たつき)。集うのはご機嫌な老人ギャストン(松澤一之)、物理学者を目指す青年アルベルト・アインシュタイン(R:川平慈英/B:村井良大)、美しい娘のシュザンヌ(水上京香)、画商のサゴ(吉見一豊)、発明家シュメンディマン(R:村井良大/B:川平慈英)。特にシュザンヌはピカソ(R:岡本健一/B:三浦翔平)に会いたがっている。場の話題が画家ピカソで持ちきりになった頃、本人が意気揚々とやってくる。
ピカソアインシュタイン、才能に満ち溢れる2人は初めて出会い、熱く議論する。ものが生まれる瞬間やその発想、閃きについて。物理とアート、異なる視点を持つ2人が発火し、深く共感し、奇跡のような出逢いを果たす。盛り上がる“ラパン・アジール”に、もうひとりの青年(R:三浦翔平/B:岡本健一)が現れる。彼も若き天才だった…。

(R:ROSEバージョン/B:BLUEバージョン)

https://horipro-stage.jp/stage/picassoeinstein2019/

という感じ!

19世紀が終わったばかりのバーで繰り広げられる、ワンシチュエーションもの。酒場でのくだらない、でもウィットの効いたやりとりに浸りつつ、天才たちの出会いと彼らが今後創りだしていく『20世紀』について思いをはせる物語です。

 

ワンクッション ~作品が難しかったので~

滅茶苦茶ぶっちゃけますと、

これまで見た推しの舞台の中で一番難しかった。

 

私が病み上がりポンコツ丸なのもあるんですけど…

フワッと明るいコメディのオブラートを被せてあるんだけど、ジョークが結構シニカル。
設定もファンタジーとしてみればコメディ的だけど、SFとしては結構重い。
根底にあるテーマが、パッと見では前向きで明るいんだけど、実際の所は結構ダーク。

どの温度で「脳がハッピー」になればいいのかわからないまま、思考回路がショートし、脳みそが処理落ちしまして。

マチソワ間は、大体一人で推しに手紙を書いてるんですけど、あんまりにも混乱したので、すでに2回見て、話を押さえ、自分なりに感じるモノがあり、かつ信頼出来るフォロワーさんに話を聞きに行きました。(その節はありがとうございます)

本当に、異例すぎる行動を取ってしまった…

 

なので、舞台美術については先に書きますが、それ以降は普段とは違う感じで、先にキャストごとの感想を、続いて物語全体の感想とネタのメモ、最後に「ここがわかんなかったよ」メモを書きます。

ここから下は全部ネタバレです。

よろしく!

 

舞台美術

手前に大きな金の額縁が置かれており、バーはその中に納まるという構図でした。

バーの中のワンシチュエーションモノなのに「星降る夜の奇跡」ってなんぞ? と思われた方、ご安心下さい。

終盤、屋根が吹っ飛びます。

星は舞台上だけでなく、額縁の外側にも吊り下げられ、ミラーボールでキラキラと劇場内全てに輝いていました。

これ結構メタなネタを含んでるんじゃないかな…知らんけど…それについては下の方で書きます。

 

キャストごと感想(BLUEのみ)

推しは最後だよ!!
番手とか無視してごめんね。単に語りたいから最後にしてるだけです。

敬称略。

 

フレディ:間宮啓行

気の良いバーの主人。愛嬌があって、この人のバーなら行きたいな~って思わせる。細々と働き回って、根が素直でいい感じ。

 

ジェルメーヌ:香寿たつき

美しかった…。色気があって、頭が良い。ピカソに対して、男だけでなく、女も男を選ぶんだと言ったりとか、その他のセリフもリアリティがあった。

 

ギャストン:松澤一之

頻尿(感想?)

酒場に必ずいる酔っ払いのおじさんって感じ! 自分が枯れていることを嘆いたり楽しんだりと、その年齢らしさが出ていて面白かった。女性への想いがいい。

 

シュザンヌ:水上京香

可愛い~!! ピカソに対してドキドキしたり、むくれてみたりが本当に可愛かった。知り合いなのに、初対面と思われて求愛されて…からのラフ画を巡るやりとりが面白かった!

伯爵夫人とシュメンディマンファンをやってたのも水上さんかな? どっちもそれぞれに個性がありました。

 

画商のサゴ:吉見一豊

なんかお金持ちっぽいし悪い奴かなと思ってたんですけど(?)、結構良い奴でした。可愛いな~。

 

シュメンディマン:川平慈英

どんなセリフも臆さず面白くしていくの、ホントすごいなって!! 川平さんのアインシュタインを見るのが楽しみ。

 

 

未来からの訪問者:岡本健一

ネタバレするよ! エルヴィス・プレスリー(をモチーフとした)役です!!

20世紀と、次元を越えること、世界を曲げることについて、ピカソたちにかすかに伝えます。

ギラギラって感じではないんですが、往年の、全てを理解したプレスリーって感じで良かったです。

 

ピカソ:三浦翔平

でっかくて熱い。そしてセクシー。なんかこのピカソなら、『アヴィニョンの娘たち』はもちろんのこと、『ゲルニカ』も描けそうだなって思った。

 

アルベルト・アインシュタイン村井良大

可愛かった。ひさびさのおひげちゃんだよ~!!つけひげちゃんだけどー!!

 

真面目でリアルな面白さを打ち出してきているような感じがしました。
アインシュタインであり、彼の独特な価値観、世界観、ピカソとの共鳴、そのもの自体をしっかりとやることで、他者との常識や、日常のリズム感の違いなどが滑稽に映る。
バクマン。』で言うところのシリアスな面白さなのかな。

 

細かいところでこちょこちょ動いてるのが可愛かったな~せわしなく興味がかわる感じ。見て、考えて、脳みそが満たされて、次に行く。天才性と同居する、常識を越えた感覚っていうのを、肉体で表現していました。

 

伯爵夫人が煙管を吸って吐いた煙を食べに行くのと、ピカソとのペンでの決闘の後に、西部劇のガンマンがするみたいに「フッ…」って吹いたのが可愛かったなあ。お酒も結構ぱかぱか(しかも度数の高いのを)飲んでいて、段々とごきげんになっていく感じもキュートでした。

これはたまたまだと思いますが、マッチでパイプに火をつけようとするも、つく直前で消えてしまう、と言うのを何回か繰り返していたのも可愛かった。

 

あと、物語の中で、アインシュタインが「貴方は何をしている人?」と度々問われていて。
はじめは「昼は特許局で働いています」「夜は閃きを書き留めています」っていう風に言っていたんですけど(その為、小説家と間違われる)
ラパン・アジールの皆やピカソと話し、自分のひらめきについてや考えについてや、著したいと思っていることが明確になって行くにつれて、「物理学者です」「科学者です」に自分への認識が変わっていくのが滅茶苦茶いいな~って!!

ピカソアインシュタインと話して変化していったのが、最後にプレスリーに『アヴィニョンの娘たち』を見せられる(『まだ描いていない物を描く』という願望の実現を知る)っていう、視覚的にわかりやすい形で変化と啓示を得るんですけど。
アインシュタインは会話の中で少しずつ自己変容していくのが、なんか彼らしくて良かったです。

 

物語について

めっっっっ……っちゃ、考え考え書いてるから、わかりづらいところもあると思うので、ご容赦下さい。これが合ってるかどうかよくわからない。

大筋の流れ

友人の自殺から始まる、青色の時代に取り憑かれたまま、女性と性と共にあり、売れない絵を描くピカソと、

特殊相対性理論は書き上げるも、特許局で働き、物理学者を自称出来ないアインシュタインが出会い、

その閃きの共鳴が次元を超越して、

とある一つの奇跡=タイムトラベルで現れたエルヴィス・プレスリーと出会い、

ピカソは青の時代を抜けてバラ色の時代、そしてキュビズムの構築へ向かっていき、

アインシュタインは三次元・四次元(時間)を交えた相対性理論についてを著し世界に衝撃を与える。

……って感じです。多分。

 

なんでピカソアインシュタイン

どれもこれも個人的な考察ですよ。

あと多分、ピカソアインシュタインについてや用語について解釈間違ってるところもあると思う。専門家じゃないんで…。

 

ピカソキュビズムを使います。
なんか四角っぽいので構成された画面が目立ちますが、あれはザックリ言うと、前からの見た目と横からの見た目、その他から見た絵を一つの画面に納めるというのがベースの技法です。

つまり、三次元を二次元と共にある物にしている。

 

アインシュタイン相対性理論について著しました。
相対性理論では、運動について記述する際に、縦・横・高さと時間という四つの次元を用います。

まあなんか、三次元に四次元を加えている。

 

それぞれが、手で著した作品で、次元を越えながら、新しい時代を切り開いている。

(結構乱暴なくくりですが)

 

そういう『次元・時空を超越する』という部分で、彼ら二人だからこそ起こし得る共鳴と奇跡があるのかなと思ってます。

 

なんで奇跡が起こったん?

ピカソアインシュタインが、鉛筆と紙の決闘をするシーン。
ピカソが絵を、アインシュタインが式を書くところ)

わーーーって喧嘩して、話して、共感しまくってたと思いきや、途中で喧嘩するんですよね、ピカソアインシュタイン
その時の、互いの閃きや共感のまばゆさが素晴らしいんですよね…。

 

そのシーンのセリフ…大分うろ覚えなんですけど。

(自分たちは紙の上に大切なものを現しているのだという話をした後)

ピカ「俺の鉛筆は紙を突き破って」

アイ「そうだ」

ピカ「女が現れる」

アイ「違う! 次元を越えるんだ!」

ピカ「違う! 俺は女を、女を描くんだ…」

 みたいなのがね、あって。

 

それが多分。

紙(二次元)を

突き破って(三次元的展開)

次元を越える&女を描く(時空を越える四次元的な働き)?

=タイムマシンでプレスリーが現れ(時間=四次元を超越して)

 ピカソに『アヴィニョンの娘たち』を見せる(未来の女を描く)

……かなあと。

 

正直、リアルタイムでは紙を突き破ったあたりを、めっちゃ筆圧高いんだな…とか思いながら見てたので、本当にこの解釈かわからないんですけど。

先の「何故ピカアイか」を合わせると、そう考えるのが自然かなあと思っています。

 

なんでプレスリー

あんまりわからない。

戦争の後、20世紀に大きな影響を与えたスターだったからかもしれない。

巨大な(質量=重力がすごい)星は、宇宙空間を走り続ける光も曲げるので…

www.afpbb.com

去年話題になったこれみたいに、作中で「重力は光も曲げてしまう」という話をして。
アインシュタインも「天才は時代を変えるんじゃない、曲げてしまうんだ」みたいな話もしてたはず。

プレスリーの名前の星座は(ピカアイの)三倍の大きさだ」みたいなのは、そこを示しているのかな?

登場するプレスリーは死後の設定らしいので、もしかすると、超質量星(めっちゃでかい星)が寿命を終えて超新星爆発をした後、ブラックホールになり光を曲げて…って所まで織り込んでいるかもしれない。

次元ではなく、その巨大さ、光、重力で世界を変えた人。

 

これ書いてるのガチガチのメルヘン文系なので、物理の解釈間違えてると思うんだけど、ご容赦下さい。

 

アインシュタインが書こうとしていた本について

判型が小さい、挿絵がない、70ページ程

Einstein, Albert - Über die spezielle und die allgemeine Relativitätstheorie : (Gemeinverständlich)

※『特殊および一般相対性理論について』の原書

これのことを言ってる?

ただ「マックス・プランクに読んで貰えればそれでいい」という話は、この本にまとめる前、1905年に著した論文にかかる。

 

額縁とその作用について

画商のサゴの言う「額縁こそが絵を際立たせ、絵はある一定の範囲に対して影響を及ぼす」みたいな話(意訳)

これは、この舞台作品そのものへのメタな話かなと。

 

舞台美術に額縁があり、キャラクター達はその中に存在する。
それはある一定の範囲=劇場内に大きな影響を及ぼす。

みたいな。

 

で。

もしかするとこの作品は、ブレヒトの言う「異化効果」を意識的に使った作品なのかも知れないな? というのが少しありまして。

 

ただ異化効果ってのが、何度読んでもよくわからないというか、ネットだと違う内容が錯綜している(小説の方のもある)為、何かちゃんとした本を読まないとならないんだけど、まだ読んでない…。

ので、多分これが一番わかりやすく、原義に近いのかな~~、というリンクを貼っておきます。

世田谷パブリックシアター レクチャープログラム 『ブレヒトにおける演劇と教育』
Vol.1「ブレヒトが『教育』に近づいた経緯」

 

「ああ~わかるわかる! そうだよね! じゃあね!」って、舞台に共感してそれでおしまい。劇場に全部置いてくる。

ってのじゃなくて、

「わからない。共感出来ない…」って所から、じゃあ彼らは何をしているんだろう? それが何を意味するんだろう?? って家に帰ってからもずっと考える。

っていう舞台だったのかな。という。

 

自分が作品を理解出来なかったから、無理矢理に牽強付会してるのかもしれない。

結構細かいところで、ふと醒めさせられる(舞台から切り離される)場面が意図的に配置されてた気がするんだけど…考えすぎかも知れない。

 

あ。純粋に、コメディの流れに乗れてれば、場面ごとの台詞を丁寧に楽しんで終われる構成にはなってはいました。

乗れない人は多分虚無ってる
私も少しきょとんとしつつ虚無った。
「え…どうしよう……わからない……」ってなった。

 

ジェルメールの台詞

結構重要なことを言っている。

アインシュタインの作品が描くものについて「星とか、宇宙とか…!」

未来を空想している時に、一番現実に近い物を言い当てている。特に広島が一変することについては、アインシュタインの後悔である、特殊相対性理論を元に原子爆弾が作られてしまったことにつながっている。

ピカソへの女性についての注進。ピカソが今後も女性関係に振り回されることを暗示している。

 

『悔いのある時代に』

新世紀を祝う乾杯の際に、プレスリーが言う言葉。

この物語は基本的に明るくて、最後にも『新しい時代へ踏み出そう』という温かい意志を伝えてくる。

 

でもプレスリーや、私たちは知っているんですよね。

ピカソアインシュタインの言う新時代=20世紀がどんな時代だったか。

 

20世紀は、いろんな良くないことが起きる。
世界中で戦争が起きて、ピカソは『ゲルニカ』を描き、アインシュタインの世紀の発明は、世紀の大量虐殺兵器を生み出してしまうきっかけになった。

 

『新しい時代』は、決して『光り輝く時代』ではなかった。
そこには多くの『悔い』があった。

 

だからこそ、この物語は、これから『新しい時代』を歩んでいく私たちにへの強いメッセージを伝えてくる。

 

新しい時代を心から祝い、一歩踏みだし。
自分が何をするのか、何をしたいのか、何が出来るのか。


どんな時代を夢見るのか?

 

ここがわかんなかったよメモ

ギャストンの歌回り(元ネタがあったのかないのかもわからない)

e型のパイ(ゲルフォント定数と関係あるのか…無限に食べられるとか? EだったらE = mc2かとおもったけど)

シュメンディマン(アスベストの利用について話してたけど…元ネタというか、モデルとかはいるんだろうか)

 

 

そんな感じ!

わかんないことをわかんないなりに考えたらわかんなくなった感想でした。