CLIP STUDIOの自動彩色のみで、グリザイユ画法やってみた。
昨日「自動彩色すげ~~~!!」と自分の中でテンションが上がりまして。
もう少し陰影をつけたり出来ないかな~?とか、色々考えていました。
今回、それを試してみたので、メモ代わりに書き残しておきます。
CLIP STUDIOの自動彩色で、グリザイユ画法(※もどき)やってみた
CLIP STUDIOの自動彩色とは?
最近追加された機能です。
・線画レイヤー
・こんな色で塗ってくれ~という彩色ヒント用の参照レイヤー
を作って、「ヒント画像を参照して彩色」をすると、いい感じに塗ってくれたレイヤーが作られる…というものです。
ヒント画像が無いとなかなか面白いことになるのでオススメはしません。大体暗い色になる。
ザックリと実際にやってみた図。
冬コミの本の表紙に使う為に素材を探していたんだけど、好みのが見つからなかったので、機能頼りで作ってみた。
— 坂道を駆け上る寅太 (@torata_nu) December 19, 2018
1.CLIP STUDIOの素材・ペン(有料・無料色々)で花をどわー
2.こんな感じで~っていう彩色ヒントを置く
3.自動彩色完了
4.からの、主線レイヤーオフにしつつちょっと色調いじって完成 pic.twitter.com/UPI5uKdi0t
クリスタ本家の説明はこちら。
CLIP STUDIO PAINT ユーザーガイド - 自動彩色(先行プレビュー)★
かなり綺麗に塗れてすごいです。これ自力でやったら凄い大変ですよね…。
ただ、なんとなくのっぺりした印象になります。
グリザイユ画法とは?
滅茶苦茶ザックリ言うと、
・陰影のみのグレー版(単色版)
・色味のみのカラー版
を分けて作って、
最後にグレーの上にカラーをオーバーレイなどの合成モードにして乗せる。
みたいな感じです。
詳細はこちら。
オーバーレイってなんぞ、というのはこちら。
グレー版を作るの、これはこれで手間だな、と、思わないでもない。
そもそも立体の把握が出来ないし影の付け方がよくわからん。
クリスタの自動彩色でグリザイユ画法もどき実践
自動彩色だとのっぺりする…
グリザイユもなんだかんだ手間がかかる…
なおかつ自分自身、絵が描けない・絵を描くことに時間を余り割けない・色彩感覚がない(影色を塗ろうとすると地獄を見る)・基本面倒くさがり。
そんな、自分でもツールを使ってなんかいい感じに出来ないかな~~と思ったので、試してみました。
線画の用意
まず線画を用意します。
とりあえず花&鉱石でテストしてみたかったので、ちょっとセンスがアレなのは気にしないで下さい…。
こちらはいずれもクリスタの素材です。
何一つ描いてなーい。
バラはデフォルト素材かな。多分。
宝石は、こちらの無料素材。
このブラシセット自体に、陰影データが入っているのですが、今回は自動彩色のテストのため、線画のみの設定で使わせていただきました。
余りにクオリティが高く、望んでいたデータだったので、お布施CLIPPY(画面下部にギフト欄がある)してしまいました。
グレー版作成
陰影ベースとなるグレー版を、自動彩色で作成します。
線画とは別のレイヤーに、彩色ヒントとなる参照レイヤーを作ります。今回はグレー版なので、灰色~黒でぺそぺそ。
一応、花びらの集まってるところは黒く、宝石のトップには色を置かないようにしています。その辺は自分の感覚でやってみて下さい。
そして自動彩色。
今回は「より高度な設定を使用」を使っています。
※色分解とか、諸々の設定はいじってません。デフォルトです。もしかすると「ヒント画像を使って彩色」と変わらないかも。
こんな汚いモデルがどうなるのか…。
てってーん。
割と充分すごいな!!!
自分でやってるんでアレですが、毎回凄いな~って思います。
自動彩色神。
今回、灰色の中にジワッと赤系の色が混ざっています。でも、なんでなのか自分では判ってません。多分塗る時のペンの設定なのかな?
……そん位のレベルの使い手でもこれだけ出来るんだからすごい、ということで。
ただこのままだと、白い部分があんまりなくて、グリザイユ的に面白くないので、別レイヤーでハイライトを足しました。
雑だけど、なんとなく雰囲気は出ました。
カラー版作成
続いてカラー版作成。
実はグリザイユの場合、カラー版はべた塗りでもOKなんですよね。
でもまあ…べた塗りとは言え、多少面倒くさいのと、あと、自動彩色ののっぺり感をどうにかして、上手く使ったろうという発想の元やっているので、そこは気にしないで貰えると嬉しいです。
で、グレー版と同様に、線画とは別のレイヤーに、彩色ヒントとなる参照レイヤーを作ります。
雑!!!
使ってみた感想として、彩色ヒントは2~3色置いた方がなんかオシャレっぽくなる…気がします。絵によりけりですが。
そしてこちらでも、自動彩色(より高度な設定を使用)
コレはコレでやっぱり綺麗!!すげーな自動彩色!
彩色ヒントと見比べてみるとびびります。色相とか割とガン無視して彩色ヒントをおいてるんですが、なんとなく整うのがすごい。
宝石なんかは何色か置いた方が、映り込みやそのものの綺麗さが際立つ気がします。
ただやはり、のっぺり感と、ぼんやりした印象は否めない。
また、グレー版にオーバーレイするなら、派手な色味の方が良さそうだな?と思って、彩度をあげ、明度を落としてみました。
こうすると、各々の色がどう干渉し合ってるか、みたいなのがちょっと判りますね。
統合、完成!
これで、グレー版、ハイライト、カラー版、線画が揃いました。
カラー版のみオーバーレイ設定にして、重ねてみます。
なかなか綺麗かつぱっきりした気がします!!!
レイヤー設定はこんな感じです。
総論
それではまとめに参ります。
使用ツール・所要時間など
使用ツール:iPad版CLIP STUDIO & 指
素材関係:CLIP STUDIO ASSETS(クリスタ運営の個人制作素材サイト)
所要時間:1時間半
・線画の手配(素材探しから配置まで)
・自動彩色によるグレー版作成(+ハイライト)
・同 カラー版作成(+色調補正)
・統合
までで、大体1時間半程度かかりました。
線画は素材を使い、実際に塗るのも彩色ヒントやハイライト入れ程度しかない為、かなり時間の短縮になるのでは無いかと思います。
多分、今回は素材を探していた時間が一番長いですねこれ…。
あと、配置、彩色ヒント、ハイライト入れ、全部指でやっていました。
その位ざっくりやっててもここまで行ける。
自動彩色グリザイユ+線画と、自動彩色+線画の比較
左が今回の手順。右が自動彩色のみです。
自動彩色のみだと、全体的にのっぺりと塗られていたものが、グリザイユ画法的にグレー版を入れることにより、明るいところは明るく、暗いところは暗くなり、存在感が出てきました。
一手間のくわえ方の一つとしては、悪くない方法かなと思います。
感想
この手法の場合、ちょっと硬めの印象に仕上がります。
なんか、薔薇がてらってらになってしまいました。ビニール製の予感。
花など質感のあるものは、テクスチャをかける、各版やハイライトを作る際に、何かしら気を遣った方がいいかも知れません。
人間も多分、眼とか、見る側の視線が行きやすいものと、グリザイユ部分を自分で描いて立体感を出した上で、カラーのみ自動彩色をつかう…とかの方が上手くいくと思います。
また、光源を考えると、ちょっと謎な部分があり。
画面中央真上ぽいような…背景の白い部分が干渉しているだけのような。真面目に使おうとする場合は気をつけないとなりません。
あと、これは素材頼みの場合ですが。
素材ごとの主線の太さが異なるので、その辺は線のレイヤーを消したり、自分で書き直したり、ちょっと気を遣って手を加えないと、バラバラな印象になってしまいます。
とはいえ!
このままの手順でも、宝石や(恐らく単純な背景などの)直線で構成されているものは結構いけそうな気がします。
ものすごーく厳密に言うと、奥の方の映り込みとか反射とかは間違っていると思うんですけど…硬質な雰囲気で、色が綺麗ならいいかな、とか、ちょっとした素材に使う程度なら全然いけるかなと。
宝石のみだとこんな感じ。
上は主線を乗算モードでのせた物。下は主線無しです。
明るい石はぼやけてしまいますが、濃い色のものは主線成しでも綺麗かも。
コレだとテキトーに入れたハイライトがかなり邪魔ですね…ない方がいいな。なので、このブログのアイキャッチ画像は、ハイライトがないバージョンで創ってみました。
そんな感じで。
どんなツールも、当然手間暇かければより良いものが創れるものですが。
とりあえず今回は自分は基本描かず、自動彩色を駆使するという方向で頑張ってみました。
なかなか面白いので、今後もちょこちょこ素材づくりに活用してみたいです。