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観劇マナーについて

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観劇マナーの悪い方は、たった一人居るだけでも、その席の前後左右の8人、ケータイのバイブ音など、広範囲の方が認識できるものだと、劇場全体の人が迷惑します。

観劇経験が浅く、どうすればいいかわからずに、ふとした拍子にマナー違反をしてしまうこともあるでしょう。しかしそういう場合は、怖じるよりは、一時の恥を飲み込んで、真摯に振る舞いを学び、実践すればいいと思います。

作品を楽しみたいのであれば、その世界を壊さないように。

好きな役者さんが居るのであれば、その方に恥ずかしくないように。

皆が集まる場所を、皆で共に、快適に過ごせる場所にしていけたらと思います。

 

基本的に、マナーは二つの大きな枠に分類できます。

・上演中に他人の視界を遮らない

・上演中に音を立てない

こちらをそれぞれ細かく見ていきます。

 

上演中に、他人の視界を遮らない

【髪型】

お団子頭・高い位置でのポニーテールはNG。ツインテール・サイドアップも、椅子が互い違いに並んでいる劇場では、人と人の頭の間から、舞台を見る形になるため、やはり迷惑になります。盛り髪ももってのほかです。特殊な色のウィッグもかなり気になるので、何か理由がない限りは避けた方がいいでしょう。

【帽子など】

帽子など、厚みや高さがある被り物もNG。体高があがり、後ろの迷惑となります。ヘアバンド・カチューシャは厚みがなければ恐らく大丈夫ですが、迷惑になるなと思ったら取った方がよいです。リボンカチューシャや、大きな飾りのついたものは迷惑です。

【座り方】

必ず深く座り、背中を背もたれに付ける。前のめりになる・浅く座るのはNG。画像が一番わかりやすいかと。背中にリボン・帯があるなどで難しい場合もあるかと思いますが、邪魔になる装飾は避けるなど、適宜自分で対応して下さい。パニエの入ったスカートも、座高が高くなるのでやめた方が良いかと思います。

f:id:torata_nu:20160620233243p:plain*1

【途中入場】

どうしようもならない理由による遅刻などで途中入場する事もあるかと思います。そうなってしまった場合は、 身をかがめて、出来るだけ早く入場する事で、他の方の視界を遮らないようにして下さい。

 

上演中に、音を立てない

【手荷物をいじらない】

ビニール袋、紙類、鞄をいじらない。ガムをボトルから出す、飴を食べる等の行為も、結構な頻度で行われていますが、大袋から出す、小袋を破るなど、がさごそという音や動きは意外と目立ちます。

【飲食】

飲食は基本的にNGです。場内で食べてOKという劇場でも、上演中はダメです。タクフェス「晩餐」のサンシャイン劇場公演など、稀にOKとされる作品もありますが、その場合は必ずアナウンスがありますので、そちらにしたがって下さい。ガムも、噛む音が結構聞こえるのでやめて欲しいです。

【生理現象】

乾燥した劇場でじっとしていると、どうしても咳が出てしまうことがあります。

元々不調がわかっていて、咳が出る可能性を把握しているのであれば、できる限りのケアをした上で、タオル地の大判ハンカチや、いっそタオルを膝において、上演中、咳が出てしまった時に、出来る限り音が漏れないようにすると良いと思います。くしゃみなども同様です。

最近では、ピアニッシモ(口布団・吸音ふとん)という物もあるようです。こちらは、しっかりと口をつけていると、発した音や咳が90%吸収されるとのこと。
咳をしないように、体調を整える事も大切ですが、万が一してしまった時の、対策や配慮を忘れないことも大切です。

【衣服】

化繊のジャケットなど、こすれて大きな音の立つ衣服は出来れば避けた方が良いです。じっと座っていられず、少し動いてしまうタイプの方もいるかと思いますが、こすれて音の出る物を着ていると、かなり周りに響きます。

【会話】

知り合いや隣の席との会話はNGです。作品に集中させて下さい。独り言も同様に迷惑です。

【寝る】

上演中に寝るのはやめた方が良いです。疲労困憊していてどうしようもない事もあるかと思いますが、寝てしまう事で、自分でも意図しない迷惑行為を行ってしまう事があります。大きく船をこいだり、寝言で舞台上の役者さんと会話してしまったり(以前実際に見かけました)…かなり危険です。

【電子器機について】

携帯電話・スマートフォンは電源を切る。着信音だけでなく、バイブレーションもかなり響きます。画面を立ち上げた際のバックライトも、一階席での光が、三階席からも視認できるほど目立ちます。機内モードにする方も多いようですが、基本は電源オフで。

 

上記の枠には入りませんが、ほとんどの劇場でアナウンスされる。

・撮影&録音&録画の禁止
上演中ももちろん、開演前後や幕間での、舞台上・劇場内の撮影や、ロビーでの撮影行為も禁止している場合があります。舞台美術にはそれそのものに著作権があります。一般の方が、許可無く撮影することは禁じられていることが多いです。

上演中の撮影はもってのほか。一度記者が入っていない、舞台のアフタートークイベントで、シャッター音が響き、異様な空気になった事があります。

 

以下には、大枠であげるまでもない・大枠にやや当てはまらないけれども、実際に出会い、迷惑したことを、例としていくつか取り上げてみます。*2

 

・強い臭気
密閉された空間に、密着した状態で、少なくとも一時間弱は拘束される観劇。そんな時に、隣から強い臭いがすると、かなり参ります。夏場ですと、汗や体臭、あるいはそれを抑える制汗剤や、香水の臭いが結構強い方も多いです。身だしなみをするのは大事ですので、ほどほどに、節度をもってやっていただければ…と思います。あと、冬場、隣の方にブーツを脱がれた時も閉口しました。ワキガなど体質的に匂いが出てしまう場合は、自分自身で相応の処置をしていただければと思います。
上演中に脚にキンカンを塗り始めた方と出会ったのは、かなりショックでした…。キンカンの蓋を開ける、カラカラカラ…という音や、脚に塗り込む時のざりざりという音、そして漂うキンカンの香り。音も迷惑でしたが、臭気が何より悲しかったです。

 

・電子機器の電源を入れたままにする

携帯電話ではなく、DSの電源を入れたまま、画面を閉じてスリープ状態にし、それを膝の上に乗せて観劇している方を見たことがあります。開演前は、かなり大きな音量でゲームをされていたので、何かの拍子に膝から落ちて、画面が開いてしまったら、大変なことになったと思います。スリープモードを示すLEDランプが、暗転した客席内で明るく光っていたのにも、閉口しました。

 

・椅子の背を蹴る
単純に、かなり腹が立ちます。
集中して見ている時に、突如ドン!と椅子の背を蹴られると、集中力が途切れます。しかも、背後なので注意がしづらい。蹴られた以降は、また蹴られるのではないか…と不安になったり、腹が立ったりして、無防備に集中して、物語を堪能することが、できなくなります。

 

・通路に脚・荷物を投げ出す
舞台によっては、役者さんが通路を通ることがあります。
その場合、基本的に、開演前に劇場係員さんが通路を通りながら、荷物が通路にはみ出ていないかをチェックして、出ていた場合は、はみ出ないように観客にお願いしています。

役者さんが通路を通る時、上からのスポットライト等は当たっていますが、足元は暗いままです。それに、演技をしている為、いちいち足元を確認しながら歩くこともありません。そんな役者さんの足元に、物がはみ出していたらどうでしょう。脚を引っかけて転んでしまうかもしれません。それを考えたら、通路に脚を投げ出して座るなんて、絶対にしてはいけないと思います。そもそも、座る姿勢として不適当です。後方席の方への配慮としても、避けて欲しい行為です。

 

・応援ウチワ
コンサート等でお馴染みの応援ウチワ。
コンサート会場では、とても賑やかで楽しいですし、歌手の方達も嬉しいと思います。ですが、基本的に、舞台に持ち込むのはいかがな物かと思います。もしもその演目が、アイドルやLIVEを題材としていて、主催者側が、応援グッズの使用を肯定・推奨している場合は別ですが、ストレートプレイなど、ウチワでの応援を必要としない作品の時は、世界観を壊しますので、やめて欲しいです。蛍光色等目立つ色を使っている為、後方の席からも視認できます。
また、ウチワを向けている相手が登場している時だけ上げる…等、頻繁に動かしている場合、その動きがかなり煩わしい場合も多いです。

 

・陰口、悪口など

人を不快にする言動は、劇場だけで無く、日常でもマナー違反ですのでやめましょう。作品への罵倒も、その場でするのは品も考えも無い行為ですが、同担への陰口も、あなたが認識していないだけで、その同担と繋がってる人間が聞いてます。めっちゃ聞いてます。なんなら制作陣に繋がってる人も聞いてます。演出さんとかもたまにロビーにいます。せめて居酒屋かカラオケに行ってからやりましょう。

 

・舞台に触る
開演前に寄りかかっている方や、終演後に舞台上の物を拾う方など、意外と多く見かけますが、やらない方が良いでしょう。舞台によっては、舞台から客席後方へと伸びている花道を跨ごうとする方もいますがそれもダメです。劇場の係員さんも、舞台に触れている方を発見次第、注意されています。
舞台上には、観客にはほとんど分からないけれど、上演のために絶対に必要なものが多く存在します。はがれかけたテープも、役者さんの立ち位置を示す重要な印だったりします。触れられてバランスを崩す美術もあるかもしれない。ですので、舞台には触れないでください。

 

・カーテンコール中の花束贈呈
お祝いのお花等は、贈る前に必ず各劇場や主催者に問い合わせ、その指示に従うようにしましょう。
カーテンコール中に花束を贈るのも、劇場や主催者の指示、あるいは公演自体の慣例に則った行為なら、問題無いと思いますが、個人が、許可も無く行う場合は、ただの進行の妨げにしかなりません。二度ほど見かけましたが、どちらも意中の役者さんにも無視されて終わりましたので、やめましょう。

 

・ぬいぐるみ

最近妙に流行ってきましたね…ぬいぐるみを抱いての観劇。舞台を見るのに不必要な物は、初めから持ち込まないようにしましょう。ぬいぐるみにしこんだカメラでの盗撮を疑われる事もあるようです。

 

・入り待ち/出待ち
これに関しては、劇場や役者さんの所属、状況によって大きく変わるので、したいのであれば、きちんと情報収集をし、規定に則って行うようにして下さい。*3
主催者側等から、絶対に禁止という指示が出ている場合もあります。その場合は絶対に禁止と行ったら禁止です。

とにかく、主催者・関係者の指示に従って下さい。
ただ、下記の入り待ちの件は、かなり迷惑な部類に入ります。

入り待ちをしただけでなく、自分の身勝手な要望を押しつけるのは、言語道断だと思います。


長々と書きましたが、基本的に、他人への配慮を忘れないと言うことが重要です。
劇場は、密閉空間で、密着した状況に置かれ、しかも、同じ物語世界を共有する場所です。私も含め、その中に集う皆が、互いに配慮し合う事で、劇場という空間そのものを、良い場所にしていけたらと思います。

 

 

基本的なマナーについては、以下のようなサイトもありますので、こちらも参考にしてみて下さい。

観劇マナー入門 Q&A | 独立行政法人 日本芸術文化振興会

*1:こちらの絵の出典が分からず…転載させていただきますが、不都合がありましたらお手数ですがご連絡下さい

*2:私が実際に経験したことのみ書いております。また、その場で注意できるものに関しては、自分で声をかけるか、劇場の方に対応をお願いしていました。コスプレについては、よく言われていますが、私自身が出会った事がないので割愛

*3:本当に界隈によって違うので、行った先で調べて下さい